目次
- データ・アプリケーション、WEEL の株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化
- カルチュア・エンタテインメント、株式会社宙(おおぞら)出版を子会社化
- アイデミー、株式会社まぼろしの株式取得(子会社化)
- クラウディアホールディングス、ブライダルハウス島田の株式取得(子会社化)
- サイバーエージェント、株式会社ニトロプラスの株式取得(子会社化)
- GENDA、音通を完全子会社化 ※下リンク先記事をご参照ください
データ・アプリケーション、WEEL の株式取得及び簡易株式交換による完全子会社化
当事者
- 買主:株式会社データ・アプリケーション
- 売主:宮川 樹生
- 対象企業:株式会社WEEL
案件に関する概要
- 案件目的
- 生成AIを活用したシステム受託開発及びコンサルティング、およびAIメディア運営などを行う株式会社WEELを完全子会社化することにより、自社製品に生成AIを組み込み、他社との差別化・優位性の確保、製品・サービス価値の向上を目指す。
- データ連携市場の拡大、顧客満足度の向上、業務効率の向上、企業価値向上、人材獲得・育成強化、事業領域拡大、業績拡大に貢献する。
- 案件概要
- 株式取得:株式会社WEELの発行済株式20,000株のうち17,692株を取得。
- 簡易株式交換:残りの2,308株を株式交換により取得。
- 株式交換比率:株式会社WEELの譲渡制限付株式1株に対して、株式会社データ・アプリケーション普通株式13.00株を割当交付。
- 対象企業概要
- 本社所在地:東京都新宿区
- 代表者:代表取締役 宮川 樹生
- 事業内容:AI専門のメディア運営・コンサルティング・開発・SaaS導入支援・データ連携
- 取得価額
- 株式取得:非公開(外部の専門家による株価評価額の範囲内)
- 株式交換:株式会社データ・アプリケーション普通株式30,000株(自己株式の交付)
会社(買主)概要
- 社名:株式会社データ・アプリケーション(DAL)
- 本社所在地:東京都中央区八重洲2-2-1東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー27F
- 設立:1982年9月27日
- 資本金:430,895千円(2024年3月末時点)
- 従業員数:136名(2024年3月末時点)
- 売上高:2,919百万円(2024年3月期)
- 事業内容:企業内外のデータ連携に関するソフトウェア開発と販売およびコンサルティング
- 主要製品:ACMS Apex、RACCOON
- 事業モデル:強力なビジネスパートナー(55社)を活用した間接販売
対象市場・競合状況
データ・アプリケーションの対象市場
資料における対象市場への言及は限定的ですが、以下の情報から「データ連携市場」を主な対象市場としていると考えられます。
- EDIソフトウェア市場でのリーダーシップ: 長年の実績を持つEDI (Electronic Data Interchange: 電子データ交換) ソフトウェア市場でリーダー的地位を確立しています。
- データ連携ソリューションの広範な導入: 企業間、部門間、クラウド、SaaSなど、多様なデータ連携ニーズに対応するソリューションを幅広い企業に提供しています。2,933社14,571サイトを超える導入実績は、データ連携市場におけるプレゼンスを示しています。
- 生成AIとの連携: 生成AIを活用したシステム開発やコンサルティングを行う企業WEELの買収は、データ連携市場における競争優位性を強化し、製品・サービス価値の向上を図る戦略と考えられます。
競合状況
資料には具体的な競合企業名は明示されていませんが、以下の企業が競合となり得ると考えられます。
- 従来型のデータ連携ツールベンダー: ETL (Extract, Transform, Load) ツールやEAI (Enterprise Application Integration) ツールなどを提供する企業
- iPaaS (Integration Platform as a Service) プロバイダー: クラウドベースのデータ連携プラットフォームを提供する企業
- 生成AI技術を活用したデータ連携ソリューションを提供する企業: データ・アプリケーションがWEELを買収したように、生成AI技術を活用したデータ連携ソリューションを提供する企業が増加しており、競合となる可能性があります。
市場の成長性
- サブスクリプションサービス市場の拡大: 決算説明会資料によると、サブスクリプションサービス市場は拡大傾向にあり、データ連携市場においてもサブスクリプションモデルの需要が高まると予想されます。
- 生成AIの活用: 生成AI技術の進歩は、データ連携市場に新たな可能性をもたらしており、市場の成長を牽引する要因となるでしょう。
- DX (デジタルトランスフォーメーション) の推進: 企業のDX推進に伴い、データ連携の重要性が高まっており、データ連携市場全体の成長が期待されます。
経営課題
資料からは、経営課題に関する明確な記載はないが、以下の記載から読み取れる課題がある。
- 2024年3月期の売上高は、一過性の特需により増加したものであり、特需の反動により2025年3月期は大幅減収となる見込み。
- 過去のROE水準と比較し、現在のROE水準が見劣りしている。
- 予測不能なVUCAの時代に対応していく必要がある。
経営戦略
中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、「個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する」をビジョンに掲げ、以下の3つを事業戦略の柱としている。
- 事業領域の拡大・開拓
- データ連携市場の拡大
- コラボレーション市場への進出
- M&A・海外展開
- 収益安定性の向上
- 全ライセンスのサブスクリプション化
- サービス型ビジネスの拡充
- 業務効率の向上
- 人的資本経営の推進
- 優秀な人材の獲得
- 人材育成の強化
- ウェルビーイングの推進
財務概要(2024年3月期実績)
- 売上高:2,919百万円
- 営業利益:549百万円
- 経常利益:570百万円
- 当期純利益:493百万円
関連資料
カルチュア・エンタテインメント、株式会社宙(おおぞら)出版を子会社化
当事者
- 買主:カルチュア・エンタテインメント株式会社(CE)
- 対象企業:株式会社宙出版(宙出版)
案件目的
- グループのコンテンツラインナップ拡充
- IPプロデュース力の強化
案件概要
CEは、雑誌・コミック・書籍の編集、発行を手掛ける宙出版の株式を取得し、子会社化した。
対象企業概要:
設立以来、「女性の人生と生活を応援する」をテーマに、マンガ雑誌、コミック、ライトノベルを中心に、多彩なジャンルと魅力的なキャラクターを通じて、夢と感動を届けてきた。近年では、グッズ販売やイベント参加など、出版の枠を超えた新しい試みにも挑戦している。
事業内容:
雑誌・コミック・書籍の編集、発行、販売、版権・著作権の管理
関連資料
アイデミー、株式会社まぼろしの株式取得(子会社化)
当事者
- 買主: 株式会社アイデミー
- 売主: 小林 信次氏、松田直樹氏、益子貴寛氏
- 対象企業: 株式会社まぼろし
案件に関する概要
- 案件目的:
- AI/DXソリューション事業の成長を促進するため、テクノロジー領域に深い知見を持つ人材を確保する。
- まぼろしのWebサイト構築・運用ノウハウと技術力を活用し、AI/DXプロダクトの品質向上とModeloyの案件拡充を図る。
- 両社の技術力・知見・ノウハウを融合し、顧客の企業価値最大化とアイデミーグループ全体の技術力・収益性向上および事業拡大を目指す。
- 買収により発生する今後ののれん償却費は、まぼろしの営業利益を下回る見込みであるため、財務的な負担は大きくないと判断した。
- 案件概要: 株式会社アイデミーが株式会社まぼろしの発行済み株式の70%を取得し、子会社化する。
- 対象企業概要:
- Webサイトやスマートフォンサイトの制作・実装等、Webサイトに関する業務を行う。
- 設立: 2008年11月
- 本社所在地: 東京都豊島区南池袋1-16-4 NKビル 201
- 代表者: 代表取締役 小林 信次
- 資本金: 6,600千円
- 取得価額: 135,679千円(内訳:株式会社まぼろしの普通株式 106,879千円、アドバイザリー費用等 28,800千円)
会社概要(買主)
- 社名:株式会社アイデミー(証券コード:5577)
- 設立:2014年6月
- 事業内容:AI/DXに関するプロダクト・ソリューション事業
- 法人向け
- デジタル人材育成支援:AI/DX人材育成のためのオンライン学習や実践型研修プログラムの提供
- デジタル変革伴走型支援:育成した人材と共に伴走し、コンサルティング型の支援サービスを提供
- 個人向け
- AI/DXリスキリング支援:AI/DX技術習得のためのオンラインブートキャンプ
- 法人向け
- 従業員数: グループ全体で約120名(2023年11月末時点)
- 売上高: 21億5000万円(2024年5月期連結見込み)
対象市場・競合状況
- 市場環境
- AI/DX市場の急成長:DX市場は2030年度に5.2兆円、AIシステム市場は2025年度に0.5兆円規模に成長すると予測されている。
- 企業のAI/DX内製化ニーズの高まり:ビジネス環境の変化への迅速な対応、コスト削減、自由度の観点から、DXの内製化が必要とされている。
- デジタル人材の不足:日本ではIT人材やAI人材が不足しており、企業は人材の質にも課題を感じている。
- 競合
- 従来型のAI/DXベンダー・SIer:顧客企業のDX推進を支援するが、人材育成や内製化支援に課題がある。
- AIベンチャー:AIモデル開発に強みを持つが、顧客企業の課題解決や人材育成に課題がある。
- デジタル系コンサルティングファーム:DX戦略立案に強みを持つが、AI/DX人材育成や技術実装に課題がある。
経営課題
- AI/DX人材の不足:企業のDX推進を阻む大きな要因となっている。
- DX内製化の推進:企業がDXを自走できる体制を構築することが求められている。
- 顧客企業のDX予算獲得率の向上:アイデミーの顧客が持つ膨大なDX予算に対して、獲得率を高める必要がある。
経営戦略
- 顧客基盤の拡大:AI/DXソリューションの人員数を増やし、サービスラインナップを拡大することで、顧客基盤を拡大する。
- 新規プロダクト開発:新たな産業分野でのサービス展開を図る。
- 既存コンテンツの拡充:グリーン・トランスフォーメーション(GX)など、提供可能なコンテンツの領域を拡大する。
- M&Aの推進:Modeloyのデリバリーパートナーとなり得る開発会社やエンタープライズ向けプロダクトを保有する企業をM&Aのターゲットとし、事業拡大を加速させる。
- 生成AIへの投資加速:大規模言語モデル(LLM)を技術戦略の柱に据え、生成AIへの投資を加速する。
財務概要
- 売上高: 21億5000万円(2024年5月期連結見込み)
- 営業利益: 2億7800万円(2024年5月期連結見込み)
- 営業利益率: 12.9%(2024年5月期連結見込み)
関連資料
クラウディアホールディングス、ブライダルハウス島田の株式取得(子会社化)
当事者
- 買主:株式会社クラウディアホールディングス
- 売主:島田 節子、冨田 洋子、木原 寛子、伊藤 信子、島田 和明 他
- 対象企業:株式会社ブライダルハウス島田
案件に関する概要
- 案件目的
- ショップ事業のさらなる収益基盤の拡大
- 対象会社である株式会社ブライダルハウス島田は、宮崎県で高い評価を得ている貸衣装店で、高品質の商品とサービスを提供しています。
- 今回の買収により、株式会社クラウディアホールディングスは、ショップ事業の収益基盤をさらに拡大し、成長を加速させることを目指しています。
- ショップ事業のさらなる収益基盤の拡大
- 九州地区におけるネットワーク拡大と「総合ブライダル企業」としての存在感向上
- 株式会社ブライダルハウス島田を子会社化することで、九州地区における事業ネットワークを拡大し、市場でのプレゼンスを高めます。
- これにより、「総合ブライダル企業」としての地位を確固たるものにし、さらなる事業拡大を目指します。
- 案件概要
- 株式会社クラウディアホールディングスが株式会社ブライダルハウス島田の株式を取得し、子会社化
- 対象企業概要
- 事業内容:婚礼衣裳の販売およびレンタル
- 設立年月日:1995年4月
- 所在地:宮崎県宮崎市大工2丁目176
- 取得価額
- 212百万円(概算額)
- 株式会社ブライダルハウス島田の普通株式:167百万円
- アドバイザリー費用等:45百万円
- 212百万円(概算額)
会社(買主)概要(事業概要含む)
株式会社クラウディアホールディングスは、ブライダル事業を主軸とする企業であり、ホールセール事業、リース事業、衣装事業、リゾート挙式事業、式場事業、写真・映像事業、美容事業などを幅広く展開しています。国内だけでなく、海外にも事業を展開しており、連結子会社は国内11社、海外3社に及びます。
対象市場・競合状況
ブライダル市場は競争が激しく、少子化や晩婚化などの社会的な変化も影響を及ぼしています。クラウディアホールディングスは、多様な事業を展開することで、これらの変化に対応し、顧客のニーズに応えることを目指しています。
競合他社としては、ブライダル衣装のレンタルや販売を行う企業、結婚式場を運営する企業、リゾート挙式を提供する企業などが挙げられます。具体的な企業名は記載されていませんが、これらの企業と競争しながら、市場シェアの拡大を目指しています。資料では、関西圏と首都圏における結婚式1組当たりの単価の平均値と比較して自社の単価が高い水準で推移していることが示されており、競合優位性の一つとなっていると考えられます。
経営課題
資料から読み取れる経営課題は主に2点です。
- ブライダル市場の回復
- ブライダル市場は緩やかな回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響からの完全な回復には至っていません。資料によると、2024年8月期の第2四半期の売上高は前年同期比で21.2%増加しましたが、これはコロナ禍からの回復の兆候を示す一方で、依然として市場全体の回復が課題であることを示唆しています。
- 婚礼単価の上昇
- 顧客の結婚式にかける費用が増加傾向にあり、それに伴い婚礼単価も上昇しています。これは、収益増加の機会である一方で、顧客の予算に応じたサービス提供やコスト管理の課題も浮き彫りにしています。資料では、直営式場の1組当たりの単価が上昇傾向にあることが示されており、この傾向が今後も続く場合、顧客のニーズに応じたサービス提供と収益性のバランスをどのように取るかが課題となります。
経営戦略
- 事業ポートフォリオの強化
- 株式会社二条丸八の買収など、M&Aを通じて事業ポートフォリオを強化し、収益源の多角化を図っています。また、海外ウェディングの回復も業績に貢献しており、今後も海外市場での事業展開を強化していくと考えられます。
- 高付加価値サービスの提供
- 顧客の多様なニーズに応えるため、高品質な衣装やサービスを提供し、顧客満足度を高める戦略を採っています。資料では、関西圏と首都圏における結婚式1組当たりの単価の平均値と比較して自社の単価が高い水準で推移していることが示されており、高付加価値化戦略が功を奏していると考えられます。
財務概要
2024年8月期の連結業績予想は以下の通りです。
- 売上高: 125億円
- 営業利益: 6億円
- 経常利益: 5.7億円
商船三井、Gearbulk Holding AGの子会社化
当事者
- 買主:株式会社商船三井
- 売主:Halberton Holding Ltd
- 対象企業:Gearbulk Holding AG
案件目的
- ドライバルク事業の更なる強化を企図し、Gearbulk Holding AG を子会社化 (現在は49%持分を保有し持分法適用会社)
案件概要
- Gearbulk 社グループが営む事業の再編(オープンハッチ事業の Gearbulk 社への集約及びその他の事業の Gearbulk 社からの切出し等)を実施した上で、商船三井の Gearbulk 社に対する議決権所有割合を引き上げ
対象企業概要
- オープンハッチ船を主軸としたドライバルク船事業、及びその他の特殊船を用いた海運事業、港湾ターミナル運営事業
会社(買主)概要
株式会社商船三井は、ばら積み船事業、エネルギー事業、自動車船事業、コンテナ船事業、フェリー・内航RORO船事業、不動産事業などを手掛ける海運会社です。2024年3月期の連結売上高は1兆6,279億円でした。
対象市場・競合状況
商船三井が属する海運業界は、世界経済や国際情勢に大きく影響を受ける業界です。例えば、原油や石炭などのエネルギー資源の価格変動や、新型コロナウイルス感染症の世界的流行などが、海運業界の業績に大きな影響を与えます。
商船三井の競合には、国内では日本郵船や川崎汽船などの大手海運会社が挙げられます。海外では、MaerskやCMA CGMなどの巨大海運会社が存在します。
経営課題
2023年度は、コンテナ船事業における運賃下落が大幅な減益に繋がりました。一方、コンテナ船事業を除くと、エネルギー事業や自動車船事業が好調で、ドル高の影響もあり増収増益となりました。
2024年度は、中国経済の減速懸念やインフレ、利上げによる世界経済の景気停滞懸念など、事業環境には不確実性が存在します。
経営戦略
商船三井は、2021年から新たな経営計画「BLUE ACTION 2035」をスタートさせました。この経営計画では、2035年度までに「安定収益型の事業ポートフォリオへの転換」と「ESG経営の進化」を軸に、持続的な成長を目指しています。
2023年度は、経営計画の初年度として、主にエネルギー事業やウェルビーイングライフ事業に投資を実行しました。
財務概要
2024年度の連結業績予想は、以下の通りです。
- 売上高:1兆8,000億円(前期比10.6%増)
- 営業利益:1,520億円(前期比47.4%増)
- 経常利益:2,300億円(前期比11.2%減)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:2,150億円(前期比17.8%減)
2023年度の実績と比較して、売上高は増加するものの、経常利益と純利益は減少する見込みです。これは、コンテナ船事業の減益やウェルビーイングライフ事業の一時費用などが影響しています。
関連資料
サイバーエージェント、株式会社ニトロプラスの株式取得(子会社化)
当事者
- 買主:株式会社サイバーエージェント
- 売主:個人4名
- 対象企業:株式会社ニトロプラス
案件目的
- 成長市場への参入:メディアミックス戦略を中心としたIPビジネスは、日本のみならず世界において成長市場となっており、サイバーエージェントは積極的にこの分野に参入しています。
- テクノロジーとクリエイティブの融合:インターネット領域でエンターテインメントビジネスを展開するサイバーエージェントの技術力と、ニトロプラスのクリエイティブ力を融合させることで、世界を目指すことを目的としています。
- IPビジネスの世界展開:ニトロプラスが持つIPビジネスのノウハウを活用し、世界展開を目指すことを目的としています。
特に、サイバーエージェントは「ABEMA」を中心とした事業展開を行っており、ニトロプラスのコンテンツ制作能力とIPビジネスのノウハウは、ABEMAでのメディアミックス戦略を強化し、世界展開を加速させる上で重要な役割を果たすと考えられます。
案件概要
- サイバーエージェントがニトロプラスの株式を取得し、連結子会社化
- ニトロプラスは社名、組織、代表取締役を維持し、IPビジネスの強化およびコンテンツ制作に取り組む
対象企業概要
- ゲーム、アニメ、小説、イラストなど幅広いジャンルのコンテンツ制作を手掛ける
- 代表作:「刀剣乱舞」
- 事業内容:ゲームの企画・開発・販売、アニメ・3DCGなどの映像制作、キャラクターグッズの企画・開発・販売、書籍およびCD・DVDの企画・制作・販売、各種ライセンス提供
取得価額
- 166億8300万円(取得関連費用等2000万円を含む)
会社(買主)概要
株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業、ゲーム事業、メディア事業の3つのセグメントで事業を展開しています。2024年3月末時点の連結従業員数は7,390名です。
- インターネット広告事業:顧客の広告効果を最大化するための広告サービスを提供しています。AIやDXの活用により、サービス向上と利益率改善を目指しています。
- ゲーム事業:スマートフォン向けゲームを中心に、家庭用ゲーム機向けゲームやクロスメディアコンテンツの開発・運営を行っています。主力タイトルの育成と新規タイトルの投入により、安定的な成長を目指しています。
- メディア事業:「ABEMA」を中核に、動画配信事業やメディアコマース事業を展開しています。コンテンツ拡充やマネタイズ強化により、収益化を目指しています。
対象市場・競合状況
- インターネット広告事業:デジタル広告市場は競争が激化しており、競合他社との差別化が重要です。同社はAI技術を活用した広告配信プラットフォームなどを強みとしています。
- ゲーム事業:スマートフォン向けゲーム市場は競争が激しく、ヒット作を生み出すことが難しい状況です。同社は人気IPを活用したゲーム開発や、新規IPの創出に力を入れています。また、家庭用ゲーム機向けゲーム市場は、プラットフォームホルダーとの競争が激化しています。
- メディア事業:動画配信市場は競争が激化しており、NetflixやAmazon Prime Videoなどの大手プラットフォームとの競争が激化しています。「ABEMA」は、オリジナルコンテンツの拡充やスポーツ中継の強化などに取り組んでいます。
経営課題
- インターネット広告事業:「広告市場の競争激化に対応し、更なる収益性の向上を図ること」とされています。インターネット広告市場は、競合他社の増加や広告手法の多様化により競争が激化しています。そのため、同社はAI技術を活用した広告効果の最大化やDX推進による業務効率化を図り、競争優位性を維持・向上させる必要があります。特に、広告効果の測定・分析技術の高度化や、多様な広告フォーマットへの対応が求められます。加えて、個人情報保護に関する規制強化に対応することも重要です。
- ゲーム事業:「主力タイトルの成長を持続させ、新たなヒットタイトルを生み出すこと」とされています。ゲーム市場は、競合他社の増加やユーザーの嗜好の変化が激しいため、既存の主力タイトルの収益を維持・拡大していくことが求められます。そのためには、継続的なコンテンツのアップデートやイベントの実施、ユーザーコミュニティの活性化などが重要となります。また、新たなヒットタイトルを生み出すためには、市場トレンドを的確に捉えたゲーム開発や、効果的なマーケティング戦略の実施が必要です。
- メディア事業:「ABEMAの収益化を達成し、黒字化を図ること」とされています。ABEMAは、競合他社とのコンテンツ獲得競争や、ユーザー獲得のためのマーケティング費用などにより、収益化が課題となっています。そのため、同社はコンテンツの拡充や外部パートナーとの連携強化による魅力的なコンテンツの提供、広告収入やサブスクリプション収入などの多角的なマネタイズモデルの構築に取り組む必要があります。また、ユーザー体験の向上や利用者層の拡大も重要な課題です。
経営戦略
- インターネット広告事業:AI技術を活用した広告効果の最大化とDX推進による業務効率化を図り、市場競争の激化に対応し、収益性の向上を目指します。具体的には、生成AI等の活用により広告プロダクト「極予測シリーズ」や独自の日本語LLMを開発し、広告効果の最大化を図っています。
- ゲーム事業:高品質な新規タイトルの提供と既存タイトルの長寿命化、クロスメディア展開の強化を通じて、安定的な成長を目指します。主力タイトルである「ウマ娘 プリティーダービー」は、ゲームの枠を超えてクロスメディア展開を強化し、長寿命IP化を目指しています。また、FY2024以降も継続的に新規タイトルをリリースする予定です。
- メディア事業:「ABEMA」のコンテンツ拡充、外部パートナーとの連携強化、マネタイズ強化により収益化を目指します。具体的には、外部パートナーと連携しスポーツコンテンツを拡充、「ABEMA de DAZN」、「ABEMA de WOWSPO(商品名:WOWSPO)」の提供を開始しました。また、話題性の高いコンテンツ提供により、WAUの増加を図っています。
財務概要(FY2024の見通し)
- 売上高:7,500億円(前年比4.1%増)
- 営業利益:300億円(前年比22.2%増)
- 純利益:開示なし