目次

  • 永谷園ホールディングスのMBO ※別記事をご参照ください
  • ラクスル子会社のノバセル、株式会社 Antoo の株式取得(孫会社化)
  • 三井物産、アパレル事業者ビギホールディングスを完全子会社化
  • 江崎グリコ、株式会社 Greenspoon のグループ参画を通じ健康・食品事業強化
  • マクビープラネット、PRクラウドテックの株式取得
  • MIRIキャピタル、NCホールディングスを完全子会社化(TOB⇒非上場化)

ラクスル子会社のノバセル、株式会社 Antoo の株式取得(孫会社化)

当事者

  • 買主: ノバセル株式会社
  • 売主: 情報なし
  • 対象企業: 株式会社Antoo

案件目的

ラクスル株式会社は、既存事業のオーガニック成長に加え、連続的なM&Aを通じて企業価値の向上を目指す「新中期財務ポリシー」を公表し、事業競争力の強化や事業領域の拡大を推進しています。
ノバセル株式会社は、広告効果の可視化を軸にデータドリブンなマーケティングソリューションを展開しており、今回の株式取得によりサービスの拡充とさらなる成長を目指します。

対象企業概要(事業概要含む)

  • 名称: 株式会社Antoo
  • 所在地: 東京都港区南青山5-17-2
  • 代表者の役職・氏名: 代表取締役社長 石倉 健太
  • 事業内容: 映像制作事業
  • 資本金: 1百万円

ノバセル概要

ノバセル株式会社は、テレビCM運用支援サービス「ノバセル」を開発・運営する企業です。ノバセルは、テレビCMの効果をリアルタイムで可視化し、分析・改善するサービスを提供しています。具体的には、放送枠の最適化や費用対効果の分析を行い、テレビCMの企画から分析までをワンストップで提供します。

対象市場・競合状況

ノバセルの対象市場は、テレビCM市場およびデジタルマーケティング市場です。競合他社としては、従来の広告代理店や他のテレビCM効果分析ツールを提供する企業が存在します。ノバセルは、競合他社と比較して、リアルタイムでの効果分析やデータドリブンなマーケティング戦略を強みとしています。

経営課題

  • 多額の投資の可視化:広告効果の可視化が不十分であること。
  • 戦略人材の不足:戦略的なマーケティングノウハウを持つ人材の不足。
  • 広告費用の説明:広告費用の曖昧さと費用対効果の説明が不十分であること。

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三井物産、アパレル事業者ビギホールディングスを完全子会社化

当事者

  • 買主: 三井物産株式会社
  • 売主: MSD第一号投資事業有限責任組合(運営:MSD企業投資株式会社)
  • 対象企業: 株式会社ビギホールディングス

案件に関する概要

  • 案件目的:
    三井物産は、主要事業であるアパレル事業の更なる成長と、ファッション雑貨など周辺事業への拡張を図るために、ビギホールディングスを完全子会社化しました。
  • 案件概要:
    三井物産は2018年にビギホールディングスへ33.4%出資参画し、EC事業の強化やブランドの海外展開支援などを行ってきました。今回、MSD第一号投資事業有限責任組合が保有していたビギホールディングスの株式66.6%を取得し、持株比率を100%にしました。
  • 対象企業概要:
    • 会社名: 株式会社ビギホールディングス
    • 所在地: 東京都目黒区
    • 設立年: 1970年(ビギホールディングス社設立:2011年)
    • 代表取締役社長: 田中雅人
    • 従業員数: ビギホールディングスグループ連結:約1570人
    • 事業概要: 洋服・服飾雑貨の企画製造・販売事業
    • 店舗数: 国内約550店舗

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江崎グリコ、株式会社 Greenspoon のグループ参画を通じ健康・食品事業強化

当事者

  • 買主: 江崎グリコ株式会社
  • 売主: 情報なし
  • 対象企業: 株式会社 Greenspoon

案件に関する概要

  • 案件目的:
    江崎グリコは、健康・食品事業の成長を加速させ、「おいしさと健康」を世界中に届けることで、パーパス「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現を目指すために、株式会社 Greenspoon を完全子会社化しました。
  • 案件概要:
    江崎グリコ株式会社は、2024年6月3日付で株式会社 Greenspoon の全株式を取得し、完全子会社化しました。これにより、健康・食品事業の中でも、日常的に喫食する主菜・副菜の分野を強化し、生活者の健康的な毎日への関与度を高めることを目指しています。
  • 対象企業概要(事業概要含む):
    株式会社 Greenspoon は、冷凍ヘルシーミールの定期宅配サービス「GREEN SPOON」を企画・製造・販売しています。「GREEN SPOON」は、スムージー、スープ、サラダ、メインディッシュの4つのカテゴリーから構成される70種類以上のメニューを提供し、電子レンジなどで簡単に調理できるヘルシーな食事を特徴としています。厳選された素材や調味料、洗練されたパッケージ、本格的なおいしさと調理の簡便さが支持され、4年間で15万人の会員を獲得しています。

会社(買主)概要

江崎グリコ株式会社(Ezaki Glico Co., Ltd.)は、1922年に設立された日本の総合食品企業です。主な事業は菓子、乳製品、食品、アイスクリーム、飲料、ベビーフォーミュラ、健康関連製品などの製造・販売です。代表的なブランドには、ポッキー、プリッツ、ビスコ、カプリコ、アーモンド効果、SUNAO、パピコ、アイスの実、BifiXヨーグルト、ジャイアントコーン、セブンティーンアイス、カフェオーレ、プッチンプリンなどがあります。

対象市場・競合状況

江崎グリコは、アジア、北米、ヨーロッパを中心に事業を展開しており、特に中国、ASEAN諸国、米国での売上が増加しています。競合企業には、ネスレ(Nestle SA)、明治ホールディングス(Meiji Holdings Co., Ltd.)、森永製菓(Morinaga & Co., Ltd.)、不二家(Fujiya Co., Ltd.)などがあり、これらの企業と市場シェアを競っています。

経営課題

  1. 原材料価格の高騰:原材料費の上昇が利益率に影響を与える可能性があります。
  2. システム障害:2024年4月に基幹システムの切り替えに伴う障害が発生し、物流や販売に影響が出ました。
  3. 新商品の開発と市場投入:価値を伴った新商品の開発と市場投入を加速する必要があります。

経営戦略

  1. デジタル戦略の推進:デジタル化を進め、基幹業務の標準化と可視化を図り、効率的なオペレーションを実現する。
  2. グローバル展開の強化:特に中国、ASEAN、北米市場での事業拡大を目指す。
  3. ブランド価値の向上:広告・販促活動を強化し、ブランド認知度を向上させる。

財務概要

2023年12月期の通期業績報告によると、売上高は3,325億円(対前年+9.4%)、営業利益は186億円(対前年+45.0%)、経常利益は212億円(対前年+56.0%)、当期純利益は141億円(対前年+74.5%)でした。2024年12月期の通期業績計画では、売上高3,510億円(対前年+5.5%)、営業利益190億円(対前年+2.0%)を見込んでいます。

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マクビープラネット、PRクラウドテックの株式取得

当事者

  • 買主: 株式会社Macbee Planet
  • 売主: 情報なし
  • 対象企業: 株式会社PRクラウドテック

案件に関する概要

  • 案件目的:
    株式会社Macbee Planetは、PRクラウドテックの完全子会社化を通じて、従来の成果報酬型のLTVマーケティングに加え、戦略PRを融合させることで、マーケティング業界における唯一無二のポジションを確立し、「革新的なマーケティングにより世界を牽引する企業になる」というビジョンを実現することを目指しています。
  • この子会社化により、LTVマーケティングと戦略PRを組み合わせた『統合型LTVマーケティング』を実現し、ブランド認知から態度変容、成果報酬による獲得からLTVの最大化までを一気通貫で提供することを目指します。
  • 対象企業概要(事業概要含む):
    • 所在地: 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-21-7 第5瑞穂ビル 5F
    • 代表者: 代表取締役 中島 謙一郎
    • 設立日: 2021年7月12日
    • 事業内容: 戦略PRコンサルティング事業、スタートアップ支援事業、広告代理事業、各種クリエイティブ制作

事業概要

Macbee Planetは、LTVマーケティングを中心に、データ解析プラットフォーム「ハニカム」やWebホスピタリティツール「Robee」を提供しています。これらのツールを用いて、ユーザーの利用金額や継続期間を最大化するためのマーケティング支援を行っています。また、2023年3月には株式会社ネットマーケティング(現All Ads)を完全子会社化し、持株会社体制へ移行しました。

対象市場・競合状況

Macbee Planetが属する市場は、インターネット広告市場であり、2023年には約3兆円規模に成長しています。この市場は今後も高い成長が期待されており、マス広告予算のデジタルシフトが続いています。競合企業としては、アナリティクスコンサルティング事業ではブレインパッドやアイ・エム・ジェイ(アクセンチュア傘下)、マーケティングテクノロジー事業ではフリークアウトやセプターニ・オリジナルが挙げられます。

経営課題

  • 顧客の偏重:ファイナンス業界やウェルネス業界に顧客が偏っており、大口顧客の予算動向に業績が影響を受けやすい。
  • 少人数組織:組織規模が小さく、即戦力の人員を獲得する必要がある。
  • 新規規制の影響:Cookie規制などの新たな規制が導入される可能性があり、広告のターゲティング精度が低下するリスクがある。

経営戦略

  • LTVマーケティングの推進:顧客のLTVを最大化するためのデータドリブン型マーケティングを提供し、広告主のROIを最適化。
  • M&A戦略:シナジーの高い領域でのM&Aを推進し、非連続な成長を実現。特に、ネットマーケティングの買収により、顧客基盤の拡大と業績のボラティリティ低減を図る。
  • テクノロジーの活用:AIや独自のデータ取得技術を活用し、広告運用の最適化と生産性の向上を実現。
  • 持株会社体制の導入:グループ各社の権限と責任を明確にし、迅速な意思決定と経営資源の効率的な活用を図る。

財務概要

2024年4月期の通期見込み数値は以下の通りです:

  • 売上高:39,000百万円(前年同期比+99.1%)
  • 営業利益:4,100百万円(前年同期比+89.6%)
  • 経常利益:4,050百万円(前年同期比+11.0%)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益:2,680百万円(前年同期比+71.0%)
  • 1株当たり当期純利益:745.53円(前年同期比+11.3%)

MIRIキャピタル、NCホールディングスを完全子会社化(TOB⇒非上場化)

NCホールディングス株式会社(以下「当社」)は、ネイビー1株式会社(以下「公開買付者」)による当社の普通株式に対する公開買付けに賛同し、株主に応募を推奨することを決定しました。公開買付者は、当社を完全子会社化し、上場廃止を予定

案件目的

公開買付者は、当社の株式を非公開化することで、経営の安定化、柔軟かつ機動的な意思決定体制の確立、デジタル化の推進、インフレ対応の事業戦略の立案などを通じて、当社の企業価値を向上させることを目的としている

本件の実施に至った経緯

1. 初期提案と協議の開始

  • 2023年6月19日: MIRIグループがNCホールディングス株式会社(以下「当社」)に対して、当社株式の非公開化を目的とした初期提案を提出。
  • 2023年6月19日以降: MIRIグループは、他のプライベート・エクイティ・ファンドと共同で当社を非公開化する取引について協議を開始。

2. 単独提案の提出

  • 2024年2月20日: 他のプライベート・エクイティ・ファンドが取引の検討を中止したため、MIRIグループは単独で当社株式を非公開化する提案(第1回提案)を提出。この提案では、1株当たり2,200円の公開買付価格を提示。

3. デュー・ディリジェンスと価格交渉

  • 2024年3月上旬から4月中旬: MIRIグループは、当社に対してデュー・ディリジェンスを実施し、事業内容や成長戦略を詳細に分析。
  • 2024年5月8日: MIRIグループが第2回提案を提出し、公開買付価格を1株当たり2,100円に修正。
  • 2024年5月17日: 当社は、提案された公開買付価格が少数株主に対して十分でないと判断し、価格の再検討を要請。

4. 価格の再提案と交渉

  • 2024年5月24日: MIRIグループが第3回提案を提出し、公開買付価格を2,200円から配当額65円を控除した2,135円に修正。
  • 2024年5月28日: 当社特別委員会が、提案された価格が依然として不十分であると判断し、価格の引き上げを要請。
  • 2024年5月29日: MIRIグループが第4回提案を提出し、公開買付価格を2,230円から配当額65円を控除した2,165円に修正。
  • 2024年5月31日: 当社特別委員会が再度価格の引き上げを要請。

5. 最終提案と合意

  • 2024年6月2日: MIRIグループが最終提案を提出し、公開買付価格を2,273円から配当額65円を控除した2,208円に修正。
  • 2024年6月3日: 当社特別委員会が最終提案を応諾する予定である旨を回答。
  • 2024年6月4日: 当社取締役会が公開買付けに賛同し、株主に対して応募を推奨する旨を決議。

6. 公開買付けの実施

  • 2024年6月5日: 公開買付けが開始され、当社株式の非公開化を目指す取引が進行。

既存株主

  • MIRI Opportunities Fund LP
    • 所有株式数:1,146,600株
    • 所有割合:26.28%
    • 傘下の投資ファンド及び関連会社を運用、管理、アドバイスを提供するMIRI Capital Management LLCがゼネラル・パートナー
    • 本公開買付に応募しない予定
  • アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド (Asset Value Investors Limited)
    • 所有株式数:1,009,800株
    • 所有割合:23.15%
    • 公開買付応募契約に基づき、950,600株(所有割合:21.79%)を公開買付け応募予定

取引スキームの特徴点

  1. 公開買付け後、株式併合を実施し、少数株主の株式を金銭で買い取ることで完全子会社化を目指す
  2. 公開買付者は、買付予定数の下限を設定し、応募株券等の合計が下限に満たない場合は買付けを行わない
  3. 買収資金は、公開買付者親会社からの出資及びオリックス銀行から合計 9,268,968,360 円を上限として借入れにより調達

マジョリティ・オブ・マイノリティ

買付予定数の下限(1,761,800株)は、このマジョリティ・オブ・マイノリティの水準(1,608,000株)を上回っている

  • 買付予定数の下限: 公開買付者は、NCホールディングス株式会社(以下「当社」)の非公開化を目的として、買付予定数の下限を1,761,800株(所有割合:40.38%)に設定。応募株券等の総数がこの下限(1,761,800株)に満たない場合、応募株券等の全ての買付けを行わない
  • マジョリティ・オブ・マイノリティ計算方法: 当社の発行済株式総数(4,685,745株)から自己株式数(323,154株)及び不応募株式(1,146,600株)を控除した株式数に係る議決権の数(32,159個)の過半数(16,080個)に相当する当社株式数(1,608,000株)を基準とする

他の買付者からの買付機会を確保するための措置

公開買付期間を、法令に定められた最低期間である20営業日よりも長い30営業日に設定。この公開買付期間を長期に設定することで、以下の2点を実現し、本公開買付けの公正性を担保しようとしている

  • 当社株主への適切な判断機会の確保
  • 他の買付者による対抗買付機会の確保

なお、公開買付者との間で、以下のような合意はなし

  • 当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止する合意
  • 当社が本公開買付けへの賛同を撤回することを禁止する合意

アドバイザー体制

  • NCホールディングスFA:株式会社アイ・アール ジャパン
  • NCホールディングスLA:日比谷パーク法律事務所
  • 特別委員会FA:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社

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