この記事では、BASE FOOD社の2025年2月期第1四半期決算説明資料を詳細に分析し、同社の事業内容、財務状況、そして未来の展望について解説していきます。

BASE FOODといえば、健康を重視する人たちの間で話題の完全栄養食「BASE BREAD」を手がける企業。近年、健康食品市場は拡大しており、BASE FOODもその波に乗って成長を続けています。

今回の決算資料からは、同社の革新的な取り組みや今後の成長戦略について、興味深い情報が読み取れます。

この記事を読むことで、BASE FOODの事業内容や今後の戦略について深く理解できるだけでなく、健康食品市場のトレンドや競合状況についても知ることができます。 投資家の方はもちろん、健康的な食生活に関心のある方にとっても、有益な情報が満載です。ぜひ最後まで読んで、BASE FOODの未来を一緒に考えてみましょう。

【概要】堅調な業績回復、今後の成長戦略に注目!

今回の決算では、売上高は前四半期比で全ての販売チャネルにおいて増収し、着実に成長軌道に回帰しています。特に自社ECと卸売の回復は顕著で、商品自主回収の影響から脱却し、再び成長軌道に乗ったと言えるでしょう。

一方で、営業損失は前四半期比で悪化しました。これは、需要期である第1四半期に販促を強化した計画通りの結果であり、下期にかけて黒字化を目指す方針に変わりはありません。

また、商品ラインナップの拡充やリニューアル、海外展開の加速など、今後の成長戦略にも注目が集まります。特に、主力製品である「BASE BREAD」シリーズのリニューアルは、顧客からの評価も高く、今後の業績への貢献が期待されます。

会社概要

企業名: ベースフード株式会社 (BASE FOOD Co., Ltd.)

設立: 2016年4月

事業内容: 完全栄養食の開発・製造・販売

ミッション: 「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」

市場の概要と競合状況

資料によると、ベースフードが属する市場は、大きく「完全栄養食市場」と「健康食品市場」の2つに分けられます。

完全栄養食市場

近年、忙しい現代人の栄養補給ニーズに応える新たな選択肢として注目度が高まっており、市場規模は拡大傾向にあります。
完全栄養食市場では、COMPや日清食品などが競合として挙げられます。

健康食品市場

人々の健康意識の高まりとともに成長を続けています。手軽に栄養補給ができる食品や、特定の栄養素を強化した食品が人気を集めています。
また、健康食品市場では、大塚製薬やファンケルなど、大手企業も参入しており、競争は激化しています。

しかし、ベースフードは、豊富な商品ラインナップと高い品質、そして「かんたん・おいしい・からだにいい」というコンセプトで、独自のポジションを確立しています。

加えて、資料では、国内の潜在的なターゲット市場規模は6.2兆円と試算されており、そのうち約43%にあたる約2.7兆円が、同社の製品が訴求できる層であると推定しています。

さらに、世界的に見ても健康格差は重要な課題として認識されており、国際連合食糧農業機関(FAO)は、2050年までに全人類が必要な栄養を摂取できることを目標としています。 ベースフードは、日本だけでなく世界で事業を展開しており、将来的には巨大な海外市場での成長も見込んでいます。

これらのことから、ベースフードが属する市場は、国内外で成長が見込まれる有望な市場であると言えます。

事業概要

BASE FOODの事業は、完全栄養食の開発・製造・販売です。

主な製品:

  • BASE BREAD: 完全栄養のパン (プレーン、チョコレート、メープル、シナモン、カレーなど)
  • BASE PASTA: 完全栄養のパスタ
  • BASE Cookies: 完全栄養のクッキー
  • BASE FOOD Deli: 完全栄養の惣菜

販売チャネル:

  • 自社ECサイト
  • 他社ECサイト (Amazon、楽天など)
  • 卸売 (コンビニエンスストア、ドラッグストアなど)
  • 海外展開 (香港、中国、台湾、シンガポールなど)

経営戦略

  1. 商品ラインナップの拡充
    • 新商品の投入と既存商品のリニューアルを積極的に行い、顧客のニーズに応える多様な商品を提供する。
    • 2025年2月期Q1には、前年通期の新商品投入数2種類に対し、6種類の新商品を投入した。
    • リニューアルも2種類実施し、顧客からの評価も高かった。
    • 今後は、売れ筋である「BASE BREAD」シリーズに注力し、新商品展開とリニューアルをさらに加速させる。
  2. 販売チャネルの拡大
    • 自社ECサイトだけでなく、他社ECサイトや卸売、海外展開など、多様な販売チャネルを通じて、より多くの顧客に商品を届ける。
    • 卸売では、コンビニエンスストアを中心に展開しており、主要コンビニチェーンで高い配荷率を維持している。
    • 今後は、小売店とは異なる新たな販路も開拓し、売上増を目指す。
  3. 研究開発の強化
    • テクノロジーを活用した研究開発を推進し、さらなる高品質・高機能な完全栄養食の開発を目指す。
    • 研究開発グループは、正社員の40%以上を占めており、経営戦略の中核を担っている。
    • 「スピーディーな商品開発・改善」「おいしさの向上」「製造の効率化」「安全・安心の徹底」を重点項目として取り組んでいる。
    • ディープテックおよびデジタルテックへの投資を強化し、事業成長の加速とミッション達成の早期化を目指す。
  4. 安全・安心への取り組み
    • 品質管理体制を強化し、顧客に安心して商品を手に取ってもらえるよう努める。
    • 2024年下期から強化してきた取り組みの効果が現れており、静菌性向上を目指した生地開発などで成果を挙げている。
    • 検品工程や包装工程、製造委託先の衛生管理など、多岐にわたる取り組みを実施している。
  5. 海外展開の加速
    • 海外市場での販売を強化し、グローバル企業としての成長を目指す。
    • 香港を皮切りに、中国、台湾、シンガポールなど、アジアを中心に展開を進めている。
    • 今後は、日本と同様の社会課題を抱える国や、フードテックの受容性が高い国を中心に展開していく。

これらの戦略を通じて、ベースフードは、「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに。」というミッションの実現を目指しています。

財務概要(2025年2月期通期見込み)

  • 売上高: 190.6億円 (前期比 +28.2%)
  • 営業利益: 1.6億円 (前期は9.0億円の損失)
  • 売上総利益率: 53.9% (前期比 +4.2ポイント)
  • 営業利益率: 0.8% (前期は-6.1%)

第1四半期の売上高は36.6億円で、全ての販売チャネルで増収となりました。特に自社ECと卸売の回復が顕著です。

営業利益率は、戦略的な広告投資により-11.9%となりましたが、これは計画通りの結果であり、下期にかけて黒字化を目指します。

通期では、売上高190.6億円、営業利益1.6億円を見込んでいます。主力製品である「BASE BREAD」シリーズの新商品展開や大型リニューアル、コスト削減施策の実行などにより、利益率の改善を目指します。

クロスSWOT分析

強み (Strengths):

  • 「完全栄養食」という独自のコンセプト
  • 豊富な商品ラインナップ
  • 高い品質と安全性
  • 強力なブランドイメージ
  • ECサイトを中心とした多様な販売チャネル
  • 積極的な研究開発体制

弱み (Weaknesses):

  • 価格が高い
  • 認知度がまだ低い
  • 競合他社との競争激化
  • 海外展開における規制や文化の違いへの対応

機会 (Opportunities):

  • 健康食品市場の拡大
  • 健康意識の高まり
  • 共働き世帯の増加
  • 時短ニーズの高まり
  • 海外市場の成長

脅威 (Threats):

  • 競合他社の台頭
  • 原材料価格の高騰
  • 健康食品に対する規制強化
  • 海外市場における政治的・経済的リスク

当該企業との考えられるシナジー

BASE FOODとのシナジーは、以下のようなものが考えられます。

  • 商品開発: 共同で新たな完全栄養食を開発し、商品ラインナップをさらに拡充する。
  • 販売チャネル: 自社の販売網を活用し、BASE FOODの販路を拡大する。
  • マーケティング: 共同でマーケティング活動を行い、両社のブランド認知度を高める。
  • 研究開発: 共同で研究開発を行い、新たな技術や商品の開発を加速させる。
  • 海外展開: 自社の海外ネットワークを活用し、BASE FOODの海外展開を支援する。

考えられるM&Aや資本業務提携のアイディア

買収企業となるM&Aや資本業務提携

買収・提携の背景と目的

  • 商品ラインナップの拡充: パン、パスタ、クッキーに加え、新たな食品カテゴリーに進出することで、より幅広い顧客層を獲得し、完全栄養食市場でのシェア拡大を目指す。
  • 技術力の強化: 他社の持つ技術やノウハウを取り込むことで、商品開発力を強化し、より高品質で革新的な完全栄養食の開発を加速させる。
  • 販路拡大: 特定の顧客層を持つ企業を買収・提携することで、新たな販売チャネルを開拓し、売上拡大を目指す。

具体例

  1. 買収対象:オイシックス・ラ・大地株式会社
    • 目的: 有機野菜や無添加食品に強みを持つオイシックス・ラ・大地を買収することで、健康志向の顧客層へのアプローチを強化し、新たな商品開発のヒントを得る。
    • シナジー: オイシックスの持つ食材調達網やレシピ開発力を活用し、完全栄養食のメニューを拡充。オイシックスのプラットフォームでBASE FOOD製品を販売し、顧客基盤を拡大。
  2. 資本業務提携先:株式会社TENTIAL
    • 目的: 健康食品やサプリメントを展開するTENTIALと提携することで、商品開発における知見を共有し、新たな顧客層を獲得する。
    • シナジー: TENTIALの持つスポーツ栄養に関するノウハウを活用し、運動と栄養を組み合わせた新たなサービスを開発。共同でマーケティング活動を行い、ブランド認知度を高める。

対象企業となるM&Aや資本業務提携

買収・提携の背景と目的

  • 資金調達: 大手企業からの資金調達により、研究開発や海外展開を加速させるための資金を確保する。
  • 販路拡大: 大手企業の持つ広範な販売網を活用することで、国内外での販売を強化し、売上を大幅に伸ばす。
  • ブランド力強化: 大手企業の傘下に入ることで、ブランドイメージを向上させ、より多くの顧客に認知してもらう。

具体例

  1. 買収企業:味の素株式会社
    • 目的: 食品業界のリーディングカンパニーである味の素に買収されることで、資金調達と同時に、商品開発、製造、販売におけるノウハウを獲得し、事業基盤を強化する。
    • シナジー: 味の素の持つアミノ酸技術や食品加工技術を活用し、新たな完全栄養食を開発。味の素のグローバルネットワークを活用し、海外展開を加速。
  2. 資本業務提携先:イオン株式会社
    • 目的: 日本最大級の小売企業であるイオンと提携することで、全国のイオン店舗での販売を実現し、大幅な売上拡大を目指す。
    • シナジー: イオングループの持つ顧客データやマーケティングノウハウを活用し、効果的な販売戦略を展開。イオンのプライベートブランド商品として、共同開発商品を販売。

まとめ

今回の決算説明資料からは、BASE FOODが着実に成長軌道に戻りつつあること、そして今後の成長に向けた戦略を積極的に推進していることがわかりました。

特に、主力製品である「BASE BREAD」シリーズのリニューアルや新商品の投入、海外展開の加速など、今後の成長ドライバーとなる施策に注目が集まります。

また、今回の資料では触れられていませんでしたが、M&Aなどの戦略的な提携も、今後の成長を加速させる可能性があります。

完全栄養食市場は今後も拡大が見込まれており、BASE FOODは、その中で独自のポジションを確立し、さらなる成長を遂げるポテンシャルを秘めています。

今回の決算説明資料は、BASE FOODの現状と未来を理解するための貴重な情報源となりました。今後の展開に注目し、同社のさらなる飛躍を期待しましょう。