M&Aと聞くと、難しそうなイメージがありませんか? 経済のニュースでよく耳にするけれど、自分には関係ないと思っている方もいるかもしれません。でも実は、M&Aは中小企業の事業承継問題を解決する手段として、近年注目されています。

この記事では、政府が発表した経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針2024)」をもとに、M&Aが中小企業の事業承継にどう関係するのか、わかりやすく解説していきます。
「骨太の方針2024」は、日本経済を活性化させるための様々な施策が盛り込まれています。その中でも特に、中小企業の事業承継を支援するための施策に注目しました。

概要

「骨太の方針2024」は、日本経済の成長戦略や財政政策の方向性を示す、いわば国の羅針盤のようなものです。今回の骨太の方針では、「成長と分配の好循環」をキーワードに、賃上げや投資を促進し、経済成長を目指すと同時に、その恩恵を国民全体に行き渡らせることを目指しています

注目すべきは、中小企業の活性化に重点が置かれている点です。中小企業は日本経済の屋台骨であり、雇用の約7割を支えています。
しかし、後継者不足や資金調達難などの課題を抱えている企業も多く、事業承継がスムーズに進まないケースも少なくありません。そこで政府は、中小企業の事業承継を支援するための様々な施策を打ち出しています。

では、具体的にどのような施策が盛り込まれているのでしょうか?
例えば、M&A(合併・買収)を円滑に進めるための環境整備や、事業再構築や新製品開発、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みを支援する施策が挙げられます。また、金融支援についても、資本性劣後ローンの利用促進や、中小企業活性化協議会による再生計画策定支援など、様々なメニューが用意されています。

特にM&Aについては、後継者不足に悩む中小企業にとって、事業を承継し、さらに発展させるための有効な手段として注目されています。骨太の方針2024では、企業情報や支援ニーズを集約したマッチングプラットフォームを2024年度中に運用開始し、M&A仲介事業者の手数料体系の開示を進めたり、M&A後の統合プロセス(PMI)を支援したりするなど、M&Aをより円滑に進めるための環境整備が打ち出されています。

また、事業承継税制の特例措置についても、役員就任要件の見直しなどが検討されています。これは、後継者がスムーズに経営を引き継げるようにするための施策です。さらに、経営者保証が事業承継やM&Aの支障とならないよう、金融機関が中小企業に対して経営者保証の解除に向けた方策を提案することも促しています。

これらの施策は、中小企業がM&Aを検討しやすくし、事業承継を成功させる可能性を高めることが期待されます。M&Aは、単に会社を売却するだけでなく、新たな経営資源やノウハウを獲得し、企業を成長させるチャンスでもあります。

M&Aを円滑に進めるための施策

M&Aを円滑に進めるための環境整備

骨太の方針2024では、M&Aを円滑に進めるための環境整備として以下の施策が挙げられています。

  • マッチングプラットフォームの開始:中小企業に対する支援機関や金融機関等による能動的な支援を促すため、 2024年度中に、企業情報やその支援ニーズを集約したマッチングプラットフォームの運用を開始します。
  • M&A仲介事業者の手数料体系の開示の促進:M&A仲介事業者の手数料体系を透明化することで、中小企業が安心してM&Aを利用できる環境を整備します。
  • M&A後の統合プロセス(PMI)の支援:M&A後の統合プロセスをスムーズに進めるための支援を充実させることで、M&Aの成功率を高めます。
  • 専門家によるアドバイス体制の強化:中小企業がM&Aを検討する際に、専門家によるアドバイスを受けられる体制を強化します。

事業承継税制の特例措置の見直し

事業承継税制の特例措置についても、後継者がスムーズに経営を引き継げるようにするための見直しが検討されています。

  • 役員就任要件の見直し:現在、事業承継税制の特例措置を利用するためには、2024年12月末までに後継者が役員に就任している必要があります。この要件が見直される可能性があります。
  • 第三者への承継を促進する税制の検討:親族以外への事業承継を促進するための税制についても検討が進められています。

経営者保証に関する支援

経営者保証が事業承継やM&Aの支障とならないよう、金融機関が中小企業に対して経営者保証の解除に向けた方策を提案することも促しています。

その他の支援策

  • 事業再構築、M&A、廃業等に関する相談支援体制の構築:地域の支援機関が連携して、中小企業の事業再構築、M&A、廃業等に関する相談支援体制を構築します。
  • 中小企業の経営者教育や後継者育成の推進:中小企業の経営者や後継者の育成を支援することで、円滑な事業承継を促進します。

これらの施策は、後継者不足や資金調達難などの課題を抱える中小企業にとって、事業を承継し、さらに発展させるための大きなチャンスとなります。M&Aは、単なる会社の売却ではなく、新たな経営資源やノウハウを獲得し、企業を成長させるための戦略的な手段として活用できます。

今回の「骨太の方針2024」は、中小企業にとってM&Aを積極的に活用する大きなチャンスといえるでしょう。事業承継や企業の成長戦略について悩んでいる経営者の方は、ぜひ一度M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

あなたの会社も、M&Aによって新しい未来を切り開けるかもしれません。