この記事では、キャッシュレス決済のゲートウェイ事業を展開する株式会社ネットスターズについて解説します。同社は2023年にIPOを実施し、今後の成長が期待される企業です。

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この記事を読むことで、ネットスターズがどのような企業で、どのような戦略で成長を目指しているのかを理解することができます。キャッシュレス化が進む日本で、同社がどのようなポジションを築いていくのか、ぜひ注目してみてください。

概要

ネットスターズは、QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済サービスを提供する企業です。2023年にIPOを実施し、順調に事業を拡大しています。強みは、国内最大級のQR決済ブランドをカバーしていること、幅広い業態に強固な加盟店基盤を構築していること、そして高い技術力です。また、地方銀行や信用金庫との連携も強みの一つです。

今後の成長戦略としては、マルチキャッシュレス決済、DXソリューション、海外展開の3つを掲げています。QRコード決済に加えて、さまざまなキャッシュレス決済手段に対応していくこと、キャッシュレス決済だけでなく、店舗のDX化を支援するソリューションを提供していくこと、そして海外市場にも積極的に進出していくことを目指しています。

会社概要

ネットスターズは、キャッシュレス決済サービスとDXソリューションの提供を主な事業とする企業です。2009年に設立され、本社は東京都中央区にあります。シンガポール、ベトナム、中国にも拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。

対象市場

ネットスターズが事業を展開するキャッシュレス決済市場は、日本国内においても高い成長ポテンシャルを秘めています。経済産業省はキャッシュレス決済比率の目標を掲げており、2023年時点の39.3%から、2025年までに40%、将来的には80%まで引き上げることを目指しています。

事業概要

ネットスターズは、QRコード決済を中心としたマルチブランド対応のキャッシュレス決済ゲートウェイサービスを提供しています。日本で初めてQRコード決済ゲートウェイを提供したパイオニアであり、多様な決済手段に対応できることが強みです。

また、ネットスターズはキャッシュレス決済だけでなく、店舗のDX化を支援するStarPay-DXというソリューションも提供しています。StarPay-DXは、キャッシュレス決済、予約システム、モバイルオーダー、クーポンなど、さまざまな機能をワンストップで提供できるプラットフォームです。

経営戦略

ネットスターズは、中期的な成長に向けて、以下の3つの基本戦略を掲げています。

  1. マルチキャッシュレス決済: QRコード決済に加えて、クレジットカード、電子マネーなど、さまざまな決済手段に対応することで、顧客の利便性を向上させ、利用機会の拡大を目指しています。具体的には、他社端末を含めたStarPayの接続先の増加や、販売パートナーの強化による新規加盟店の獲得を図っています。また、低コストで柔軟な拡張性を担保したシステムを構築し、BtoB送金にも注力しています。
  2. DXソリューション: StarPay-DXの導入を促進し、キャッシュレス決済だけでなく、店舗のDX化を支援することで、顧客エンゲージメントの向上と新たな収益源の創出を目指しています。具体的には、ホテル、アミューズメント施設、飲食店、小売店などにおけるStarPay-Orderの導入を加速させ、マルチキャッシュレス決済とのクロスセルを強化しています。
  3. 海外展開: 海外のQRコード決済ブランドや主要銀行等との提携を進め、StarPayおよびStarPay-DXのグローバル展開を推進・加速させています。具体的には、JPQR(日本統一QRコード)を通じたグローバル決済のローンチや、カタール、カンボジア、モンゴルでのキャッシュレス決済導入を加速させています。また、その他の地域への進出も検討しています。

これらの戦略を通じて、ネットスターズはキャッシュレス決済市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立し、さらなる成長を目指しています。

財務概要

2024年12月期第1四半期の業績は好調で、売上高は前年同期比28.9%増の8億2,600万円、決済取扱高(GPV)は41.3%増の3,611億円と大幅に成長しています。売上総利益率も75.1%に向上しており、収益性も改善しています。

営業損益は、前年同期比6.5%減の1億5,800万円の赤字となりました。しかし、これは成長に向けた先行費用(人件費など)の増加によるものであり、計画比では15.8%改善しています。

サービス別売上高

  • 決済関連売上: 決済手数料と端末販売を含み、順調に伸長しています。
  • DX/ミニアプリ売上: 当初の想定通り、第2四半期以降に案件が寄るため、第1四半期は想定通りの着地となっています。
  • その他売上: 2023年に廃止した通信サービスの売上減を吸収しています。

2024年12月期 通期業績予想

2024年12月期の通期業績予想では、売上高は34.9%増の46億5,000万円、最終利益は1億5,000万円の黒字転換を見込んでいます。決済取扱高も1兆7,442億円と、引き続き高成長を見込んでいます。

  • 決済関連: 30.3%増の33億4,600万円
  • DX/ミニアプリ: 21.2%増の9億400万円
  • その他: 198%増の4億円

クロスSWOT分析

強み(Strengths)

  • 国内最大級のQR決済ブランドをカバー: 国内最多のQRコード決済ブランドに対応しており、幅広い顧客ニーズに応えることができます。
  • 幅広い業態に強固な加盟店基盤: 幅広い業態に多数の加盟店を抱えており、安定した収益基盤を築いています。
  • 高い技術力: クラウドネイティブインフラやコンテナ技術を活用し、強固な安定性、安全性、高パフォーマンスを実現しています。
  • 地方銀行や信用金庫との連携: 全国各地の地方銀行や信用金庫と連携しており、効率的な加盟店拡大を実現しています。
  • 高い成長性とトップクラスの利益率: 主要な決済代行業者と比較して、高い成長性とトップクラスの利益率を誇っています。

弱み(Weaknesses)

  • 競合他社と比較して知名度が低い: Squareや楽天ペイメントなどの競合他社と比較して、知名度が低い可能性があります。
  • 特定の決済ブランドへの依存度が高い: 特定のQRコード決済ブランドへの依存度が高く、そのブランドの動向に業績が左右される可能性があります。
  • 海外展開における経験やノウハウが不足している: 海外展開を加速させていますが、経験やノウハウが不足している可能性があります。

機会(Opportunities)

  • キャッシュレス決済市場の成長: キャッシュレス決済市場は今後も成長が見込まれており、ネットスターズにとって大きなビジネスチャンスとなります。
  • 店舗のDX化ニーズの高まり: 新型コロナウイルス感染症の影響もあり、店舗のDX化ニーズが高まっています。ネットスターズのStarPay-DXは、このニーズに応えることができます。
  • 海外市場の拡大: 海外のキャッシュレス決済市場も拡大しており、ネットスターズにとって新たな収益源となる可能性があります。

脅威(Threats)

  • 競合の参入による競争激化: キャッシュレス決済市場には多くの競合が存在し、競争が激化する可能性があります。
  • 手数料の低下圧力: 競争激化により、決済手数料の低下圧力が強まる可能性があります。
  • セキュリティリスクの高まり: キャッシュレス決済はセキュリティリスクも高いため、セキュリティ対策の強化が求められます。

考えられるM&Aや資本業務提携のアイデア

買収企業となるM&Aや資本業務提携

買収・資本業務提携の戦略的意義

ネットスターズは、QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済サービスと店舗のDX化を支援するソリューションを提供しています。買収企業となることで、以下の3つの観点から成長を加速させることができると考えられます。

  1. 顧客基盤の拡大: ネットスターズのサービスを導入していない店舗や企業を買収することで、顧客基盤を一気に拡大することができます。
  2. サービスの拡充: 買収対象の企業が持つ技術やサービスを自社のサービスに統合することで、サービスの幅を広げ、顧客にとってより魅力的なプラットフォームを構築することができます。
  3. 新たな収益源の創出: 買収対象の企業が持つ収益モデルを取り込むことで、新たな収益源を創出し、収益の多角化を図ることができます。

具体的な買収・資本業務提携のアイデア

  1. 小規模な飲食店向け予約システムを提供する企業: ネットスターズは飲食店への導入実績が多いですが、予約システムは提供していません。予約システム企業を買収することで、既存顧客へのクロスセルが可能になり、顧客単価の向上に繋がります。
  2. 小規模な小売店向けPOSシステムを提供する企業: ネットスターズの決済サービスとPOSシステムを連携させることで、店舗の業務効率化を支援し、顧客満足度を高めることができます。
  3. 地域密着型のクーポン発行サービスを提供する企業: ネットスターズの決済データとクーポン発行サービスを連携させることで、より効果的なマーケティング施策が可能になります。

対象企業となるM&Aや資本業務提携

買収・資本業務提携の戦略的意義

ネットスターズが対象企業となることで、以下の3つの観点から成長を加速させることができると考えられます。

  1. 資金調達: 大手企業からの出資や買収により、資金調達が可能になり、研究開発や事業拡大に投資することができます。
  2. 販売チャネルの拡大: 大手企業の販売網を活用することで、自社サービスの認知度を高め、より多くの顧客にアプローチすることができます。
  3. 経営資源の活用: 大手企業の経営資源を活用することで、経営の効率化や事業の成長を加速させることができます。

具体的な買収・資本業務提携のアイデア

  1. 大手通信キャリア: 通信キャリアが持つ顧客基盤や販売網を活用することで、ネットスターズのサービスをより多くのユーザーに利用してもらうことができます。
  2. 大手金融機関: 金融機関が持つ顧客基盤や決済インフラを活用することで、ネットスターズのサービスの信頼性を高め、利用を促進することができます。
  3. 大手IT企業: IT企業が持つ技術力や開発リソースを活用することで、ネットスターズのサービスの機能を拡充し、競争力を強化することができます。

まとめ

この記事では、株式会社ネットスターズについて解説しました。同社は、キャッシュレス決済市場において独自のポジションを築き、成長を続けています。今後の動向に注目していきましょう。