株式会社サーキュレーションは、企業の経営課題解決を支援するプロフェッショナル人材のシェアリングサービスを提供しています。この記事を読むことで、同社の事業内容、市場におけるポジション、成長戦略、財務状況などを把握できます。また、資本業務提携や新たなサービス展開など、今後の成長に向けた取り組みについても知ることができます。

概要

株式会社サーキュレーションは、プロ人材シェアリングという新しい働き方を提案し、企業の経営課題解決を支援しています。労働人口減少やDX推進といった社会課題を背景に、同社のサービスは市場から高いニーズを得ています。しかし、競合環境の激化や人材確保・育成といった課題も抱えています。

なお、2023年2月に前代表取締役社長である久保田雅俊氏が、助成金詐欺の容疑で逮捕されたという事態に直面しました。これにより、会社の信用は大きく失墜し、事業継続が危ぶまれる状況となりました。

その後、会社は新経営体制の下で再建を目指し、社内調査委員会を設置して不正の原因究明と再発防止策の策定に取り組んでいます。また、外部専門家によるサポートを受けながら、コンプライアンス体制の強化やガバナンスの改善にも努めています。

しかし、前代表の逮捕による負の影響は大きく、取引先や顧客からの信頼回復にはまだ時間がかかる見込みです。会社は、透明性と誠実さを重視した経営を徹底することで、社会からの信頼を取り戻し、持続的な成長を目指しています。

株式会社サーキュレーションの置かれている状況は、まだ予断を許さない状況ではありますが、新経営体制の下で再建に向けた取り組みを進めています。今後の動向に注目が集まっています。

会社概要

株式会社サーキュレーションは、「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」をビジョンに掲げ、企業の経営課題解決を支援するプロフェッショナル人材のシェアリングプラットフォームを提供しています。2024年7月期第3四半期決算説明資料によると、同社の事業は、プロシェアリングコンサルティングサービスとFLEXYサービスの2つの柱で構成されています。

対象市場・競合状況

同社が対象とする市場は、労働人口減少やDX推進といった社会課題を背景に、外部の専門人材を活用するニーズが高まっています。特に、大企業だけでなく中小企業においても、専門性の高い人材を柔軟に活用したいというニーズは顕著です。

競合には、業務委託契約によって法人企業に外部人材を提案する企業や、インターネット上のマッチングプラットフォームを提供する企業などが存在します。同社は、22,594名(登録者総数)が登録するデータベースと、各業界や各業務において実務経験を有するアドバイザーの幅広い領域の経験・知見を強みとして、競合との差別化を図っています。

事業概要

同社の事業は、主に以下の2つのサービスで構成されています。

  1. プロシェアリングコンサルティングサービス: 経営課題解決や新規事業開発、DX推進などを支援するプロフェッショナル人材を企業に紹介し、課題解決を支援するサービスです。
  2. FLEXYサービス: DX人材を企業に紹介し、企業のDX推進を支援するサービスです。

経営戦略

同社の経営戦略は、以下の3つの柱で構成されています。

  1. 既存領域の成長加速: 顧客の売上規模別にマーケティング活動を推進し、月次稼働プロジェクト数を最大化するとともに、高い生産性を維持しながら組織を強化します。
  2. 新領域への進出: 法人向けフリーランス管理SaaS「PROBASE」など、新しいサービスを展開し、ストック収益の積み上げを目指します。
  3. 積極的な投資とデータ活用: 積極的な投資とデータ活用により、事業拡大を加速させます。

財務概要

2024年7月期第3四半期累計期間の売上高は5,808百万円、営業利益は223百万円、経常利益は230百万円、当期純利益は145百万円となりました。売上高は前年同期比で5.6%減少しましたが、これは月次平均稼働プロジェクト数が期初計画からビハインドして推移したことが主な要因です。

通期業績予想については、売上高7,640百万円、営業利益200百万円、経常利益205百万円、当期純利益110百万円と下方修正されました。これは、一部アライアンス締結済み銀行からの顧客紹介が休止状態にあることや、新規入社者のオンボーディングに関する課題、退職者の発生などが影響しています。

クロスSWOT分析

強み(Strengths)

  • 2万人以上のプロ人材データベース
  • 各業界・各業務における実務経験を有するアドバイザー
  • 地域金融機関との提携による地方企業へのリーチ
  • 「PROBASE」など新しいサービス展開によるストック収益の積み上げ
  • データ活用によるサービスの精度向上

弱み(Weaknesses)

  • 前代表の退任に伴う顧客紹介の一時的な停滞
  • 新規入社者のオンボーディングに関する課題
  • 想定以上の退職者の発生
  • 競合環境の激化

機会(Opportunities)

  • 労働人口減少による外部人材活用のニーズの高まり
  • DX推進によるDX人材の需要増加
  • 地方における人材不足
  • 資本業務提携による事業シナジー
  • 「デジタル専門人材派遣制度」などの行政による支援

脅威(Threats)

  • 競合他社による新たな付加価値の提供
  • 法改正などによる事業環境の変化

クラウドワークスとの資本業務提携

業務提携の内容

  • クラウドワークスに登録されている人材を、サーキュレーションの「FLEXYサービス」や「プロシェアリングコンサルティングサービス」に送客する
  • エンタープライズ領域や地方自治体領域での相互顧客連携、共同パッケージの開発
  • データ連携や開発組織の交流

資本提携の内容

  • サーキュレーションの株主であるニューアイデンティティクリエイション社(前代表の資産管理会社)から、クラウドワークスが市場外で相対取引により株式を譲り受ける(議決権比率24.00%)

提携の背景と目的

  • サーキュレーションは、顧客の常駐ニーズに対応するための人材集客体制の強化を目指している
  • クラウドワークスは、年間約60万人が登録する国内最大級のプラットフォームであり、高度な専門性や高いDX技術力を保有するプロ人材を多く抱えている
  • 両社の連携により、サーキュレーションはFLEXYサービスへの送客を通じて顧客の常駐ニーズに対応し、プロシェアリングコンサルティングサービスへの送客を通じて経営課題解決を支援する

PKSHA Technologyとの資本業務提携

業務提携の内容

  • プロシェアリングコンサルティングおよびFLEXYにおけるAI技術活用を通じたサービスの精度向上
  • 「AI Agent for プロシェアリング」の開発

資本提携の内容

  • サーキュレーションの株主である前代表から、PKSHA Technologyが市場外で相対取引により株式を譲り受ける(議決権比率7.39%)

提携の背景と目的

  • サーキュレーションは、AIを活用して生産性向上を図ることを目指している
  • PKSHA Technologyは、アルゴリズムライセンス事業を展開しており、AI技術に関する知見を有している
  • 両社の連携により、「AI Matching」の強化や「AI Copilot」の開発を通じて、サービスの精度向上や顧客満足度の向上を図る

両提携に共通する目的

これらの資本業務提携は、サーキュレーションが掲げる「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを実現するためのものです。

  • 短期的な目標: FLEXYサービスの再成長
  • 中長期的な目標: AIを業務に活用した生産性向上

サーキュレーションは、これらの提携を通じて、より多くの人材と企業を結びつけ、社会全体の生産性向上に貢献することを目指しています。

まとめ

株式会社サーキュレーションは、プロ人材シェアリングという新しい働き方を提案し、企業の経営課題解決を支援しています。労働人口減少やDX推進といった社会課題を背景に、同社のサービスは市場から高いニーズを得ています。
しかし、競合環境の激化や人材確保・育成といった課題も抱えています。今後の成長のためには、これらの課題を克服し、新たなサービス展開や提携による事業シナジーの創出が重要となるでしょう。