本記事では「さとふる」を運営する株式会社アイモバイルの企業分析を元に、同社が関連するM&Aや資本業務提携としてどのようなものが考えられるかをまとめます。

株式会社アイモバイルの企業分析

この記事は、株式会社アイモバイルの2024年7月期第3四半期決算説明資料を分析し、同社の事業概要、市場環境、財務状況などをまとめたものです。

アイモバイルは、ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」を運営する企業として知られていますが、インターネット広告事業やグリーンエネルギー事業も手掛けています。

この記事を読むことで、アイモバイルの多角的な事業展開や成長戦略、今後の課題などを理解することができます。

概要

アイモバイルは、ふるさと納税事業の成長を牽引力として、2024年7月期第3四半期累計期間において過去最高の売上高と営業利益を達成しました。特にふるさと納税事業は、寄附受付件数と会員数の増加により、前期比で大幅な増収増益を達成しています。

しかし、法改正による寄附需要期の分散により、年末需要を取り込めなかったことは今後の課題として挙げられます。

インターネット広告事業は成長市場であるインフルエンサーマーケティング事業に注力しており、今後の成長が期待されます。また、グリーンエネルギー事業では、EV充電スタンドの設置やソーラーシェアリング施設の建設などを進めており、今後の事業拡大が注目されます。

会社概要

株式会社アイモバイルは、2007年に設立されたモバイル広告事業を主軸とする企業です。ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」の運営で知られており、インターネット広告事業やグリーンエネルギー事業も手掛けています。本社は東京都渋谷区にあり、従業員数は217名です。

対象市場・競合状況

1. 返礼品競争:

  • 魅力的な返礼品: 各自治体は、地域の名産品や特産品、体験型ギフトなど、多種多様な返礼品を用意し、寄付者の関心を引こうと競っています。
  • 返礼品規制: 2019年6月からは返礼品の返戻率が寄付額の30%以下に制限され、さらに2023年10月からは地場産品以外の返礼品や過度なポイント付与が禁止されるなど、規制が強化されています。これにより、返礼品の魅力だけで寄付者を獲得することが難しくなっています。

2. 寄付金の使い道競争:

  • 明確な使い道: 寄付者は、自分の寄付金がどのように使われるかを重視する傾向にあります。各自治体は、子育て支援、教育、医療、環境保護など、具体的な使い道を明確に示し、寄付者の共感を呼ぶ必要があります。
  • SDGsとの連携: 持続可能な開発目標(SDGs)への貢献をアピールすることも、寄付者への訴求力につながります。

3. 情報発信競争:

  • ポータルサイト: ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税、ふるなびなど、複数のポータルサイトが存在し、寄付者はこれらのサイトを通じて各自治体の情報を比較検討します。
  • 各自治体のPR: ポータルサイトへの掲載だけでなく、各自治体は独自のウェブサイトやSNSを活用し、返礼品や寄付金の使い道を積極的にPRする必要があります。

4. 規制強化と新たな競争軸:

  • 返礼品規制: 前述のように、返礼品規制の強化により、返礼品の魅力だけで寄付者を獲得することが難しくなっています。
  • 新たな競争軸: 今後は、返礼品だけでなく、寄付金の使い道や地域の魅力、情報発信力などが、寄付者を獲得するための重要な要素になると考えられます。

5. 今後の展望:

  • 競争激化: 返礼品規制の強化により、各自治体は返礼品以外の要素で差別化を図る必要があり、競争はさらに激化すると予想されます。
  • 寄付者の多様化: 寄付者のニーズも多様化しており、各自治体はそれぞれのニーズに合った返礼品や寄付金の使い道を提供する必要があります。

事業概要

アイモバイルの事業は、「コンシューマ事業」と「インターネット広告事業」の2つのセグメントに分かれています。

  • コンシューマ事業: ふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」の運営が中心で、旅行や飲食店と連携したサービスも提供しています。
  • インターネット広告事業: アドネットワーク事業、インフルエンサーマーケティング事業、広告代理店事業、メディアソリューション事業、アプリ運営事業などを展開しています。

経営戦略

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https://www.release.tdnet.info/inbs/140120240610525446.pdf

アイモバイルは、中期的な成長を目指し、以下のような戦略を掲げています。

  • ふるさと納税事業: 独自の体験型返礼品や提携自治体数の拡大、販促強化による市場優位性の確保。
  • インターネット広告事業: 成長分野へのシフト、アプリ運営事業のタイトル増加による利益確保。
  • グリーンエネルギー事業: EV充電スタンドの設置やソーラーシェアリング施設の建設による事業拡大。
  • M&Aや事業育成: 新規事業領域への進出。

財務概要

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https://www.release.tdnet.info/inbs/140120240610525446.pdf

2024年7月期第3四半期累計期間の連結業績は、売上高163億2900万円(前期比114.3%)、営業利益37億2900万円(前期比109.2%)と、成長しています。

通期の業績予想は、売上高200億円(前期比121.8%)、営業利益38億円(前期比107.8%)とふるさと納税市場の強い成長維持と競合環境の変化に加え、インターネット広告市場の厳しい環境を踏まえ、中期的な成長の確保と事業基盤の再整備を優先した計画に修正されています。

株主構成

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https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS02942/a6513ac4/b32b/4569/8e79/3704922a8015/S100S2J3.pdf

同社が関連するM&Aや資本業務提携のアイデア

同社が「買収企業」になるM&Aや資本業務提携

買収

  • 株式会社スペースマーケット: スペースシェアリングサービスを運営するスペースマーケットを買収することで、アイモバイルのふるさと納税事業とのシナジーが期待できます。ふるさと納税の返礼品としてスペース利用権を提供したり、地方の遊休スペースを活用したイベントを開催したりすることで、地域活性化に貢献できます。また、スペースマーケットの持つ顧客基盤やプラットフォームを活用することで、アイモバイルの事業領域を拡大することも可能です。
  • 株式会社おいしい健康: 食事制限が必要な人向けのレシピサービスを運営するおいしい健康を買収することで、アイモバイルのふるさと納税事業とのシナジーが期待できます。ふるさと納税の返礼品として健康食品やレシピを提供したり、健康をテーマにしたイベントを開催したりすることで、新たな顧客層を獲得できます。また、おいしい健康の持つ健康に関するノウハウを活用することで、アイモバイルの事業領域を拡大することも可能です。

資本業務提携

  • 株式会社ポケットマルシェ: ポケットマルシェは、生産者と消費者を直接つなぐオンラインマルシェを運営しています。アイモバイルと資本業務提携することで、ふるさと納税の返礼品としてポケットマルシェの商品を提供したり、共同で地域活性化イベントを開催したりできます。また、ポケットマルシェの持つ生産者ネットワークを活用することで、アイモバイルのふるさと納税事業の品揃えを強化することも可能です。
  • 株式会社カラダノート: カラダノートは、妊娠・出産・育児に関する情報サービスを提供しています。アイモバイルと資本業務提携することで、ふるさと納税の返礼品として育児用品やサービスを提供したり、子育て支援イベントを共同で開催したりできます。また、カラダノートの持つ子育て層の顧客基盤を活用することで、アイモバイルの事業領域を拡大することも可能です。

同社が「対象企業」になるM&Aや資本業務提携

  • 株式会社リクルートホールディングスによる買収: リクルートは、じゃらんやホットペッパーグルメなどのサービスを通じて、旅行や飲食業界に強固な基盤を持っています。アイモバイルを買収することで、ふるさと納税事業における旅行や飲食関連の返礼品を強化し、競争優位性を高めることが可能です。また、アイモバイルの持つデジタルマーケティングのノウハウを活用することで、リクルートの各種サービスの利用促進にもつながります。
  • KDDI株式会社との資本業務提携: KDDIは、auをはじめとする通信事業やau PAYなどの金融事業を展開しており、幅広い顧客基盤を持っています。アイモバイルと資本業務提携することで、ふるさと納税の返礼品としてau PAY残高やauスマートパスプレミアム会員権を提供したり、KDDIの顧客基盤に対して「ふるなび」のプロモーションを行ったりすることで、アイモバイルの事業成長を加速させることが可能です。
  • ヤフー株式会社との資本業務提携: ヤフーは、Yahoo! JAPANを通じて、ニュースやショッピング、金融など、多岐にわたるサービスを提供しています。アイモバイルと資本業務提携することで、ふるさと納税の返礼品としてPayPayポイントやYahoo!ショッピングのクーポンを提供したり、Yahoo! JAPANのプラットフォーム上で「ふるなび」のプロモーションを行ったりすることで、アイモバイルの事業成長を加速させることが可能です。

これらのM&Aや資本業務提携は、アイモバイルの企業価値向上に貢献し、アクティビスト投資家にとって魅力的な投資機会となる可能性があります。