- 市場選定前の調査のポイントを「現地市場調査前」「現地市場調査」「現地市場調査後」で抑える
- 現地調査の時間を有効活用するための市場調査のポイントを知る
市場選定にある程度の目星がたった後に重要なのが、現地での市場調査
越境EC事業における市場選定は、ビジネスの成功を左右する最も重要な意思決定です。前の記事ではその市場選定を行う際のポイントをお伝えしました。そのポイントを抑えながら、ある程度市場選定のイメージがついてきたら、次に重要なのは、現地に飛び込んでみることです。「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、一度市場を自分の目で確かめることは、どんなに時間をかけたデスクトップリサーチよりも重要であり、自らの目で感じた、現地の熱気や価値筋が確固とした自身に繋がります。
この記事では、越境EC市場の選定にあたって、どのような市場調査を行っていくと良いかを
- 現地市場調査前
- 現地市場調査
- 現地市場調査後
の3つのパートに分けて、解説します。市場選定を行う際のポイントを再確認したい方は、下記の記事をご覧ください。
STEP1:市場調査前の「仮説構築」(デスクリサーチと専門家ヒアリング)
越境EC事業における市場選定は、ビジネスの成功を左右する最も重要な意思決定です。前の記事ではその市場選定を行う際のポイントをお伝えしました。そのポイントを抑えながら、ある程度市場選定のイメージがついてきたら、次に重要なのは、現地に飛び込んでみることです。「百聞は一見にしかず」という言葉があるように、一度市場を自分の目で確かめることは、どんなに時間をかけたデスクトップリサーチよりも重要であり、自らの目で感じた、現地の熱気や価値筋が確固とした自身に繋がります。
この記事では、越境EC市場の選定にあたって、どのような市場調査を行っていくと良いかを
- 現地市場調査前
- 現地市場調査
- 現地市場調査後
の3つのパートに分けて、解説します。
STEP1:市場調査前の「仮説構築」(デスクリサーチと専門家ヒアリング)
現地市場調査というと、まずは飛行機の手配を第一ステップと考える方もいると思いますが、市場調査の第一歩はいきなり現地に飛ぶことではありません。現地市場調査の前に最も重要なのは現地で検証したい仮説を構築することです。
まずは、日本にいながら情報を集め、この論点が解決したら「この国なら勝てるかもしれない」という仮説を立てることが重要です。この段階では、主にデスクリサーチと、現地に詳しい専門家へのヒアリングを通じて、市場の全体像を把握します。
近年では、Google GeminiのDeep Research機能も質が高まり、知りたいことを入力したら、詳細なレポートを出してくれるようになっています。このように簡単に使えるツールを駆使しながら、仮説を立てるための情報収集をしていきましょう。
具体的なデスクリサーチのポイント
デスクトップリサーチを進めるにあたって、大きく2つのポイントから市場を捉えていくと良いでしょう。具体的には下記の2つの観点で情報収集を進めます。
市場規模の把握
まず、ターゲット候補国のEC市場規模や成長率、EC化率をStatistaやJETROといった信頼できる情報源から確認します。このようなマクロの情報を収集しておくことで、マクロ情報を意識しながら、現地での市場調査が可能になります。この際に、重要なのは日本と比較をして、各指標が大きいか小さいかを意識しながら調査をすることです。日本の情報については、1次情報を含めて、詳細にイメージができるのではと思います。そのイメージと比較して、現地がどうなっているかを見極めるため、日本と比較したマクロ情報を集めるのです。
4Pフレームワークによる市場分析
マクロ情報を集められたら次は、現地で検証すべき視点を明確にするため、自社をまつわる現地の市場状況を4Pのフレームワークに沿って、「Product(商品)」「Place(流通)」「Price(価格)」「Promotion(販促)」という4つの視点で分析します。
| 項目 | 分析すべきポイント |
|---|---|
| Product | 自社と同一カテゴリの現地商品としてどのようなものがあるか、日本から現地に進出している自社と同一カテゴリの商品はあるかを調査をします。その調査をする際に重要なのが、単に商品の特性や価格を比較するだけではなく、その商品がいつ登場したか、そしてなぜ人気になったのかを理解することが重要です。 特に、「なぜ人気になったか」という点については、その裏にあるインフルエンサーが大きく影響することがあります。後述に詳しく伸びますが、近年ライブコマースを通じて、急速に事業が成長している商品なども登場しており、再現性を作るのが難しい場合もあります。そのような点まで踏まえて、商品を分析しておくことが重要です。 |
| Place | 次に、上記商品がどのような場所で流通しているかを調査し、現地市場調査の際に訪問する場所を決めます。自社カテゴリの製品がどのような場所で流通しているか具体的な小売店名や自社カテゴリの商品が集まっているデパートなどを調べておきます。 その際に、現地のECサイト(Amazon、Shopeeなど)も調べておきましょう。後述の方法で、現地訪問時に実際に利用してみることが重要になるからです。 |
| Price | 現地の同一カテゴリ商品の価格帯を調査しておきましょう。国際物流費や関税を考慮しても、現地で流通する自社商品の価格に競合優位性があるかを確認します。具体的には、現地ECにアクセスできる場合は、現地ECの同一カテゴリ商品の価格を集め、価格の分布をプロットしてみると、価格差がわかりやすいでしょう。 価格については、デスクトップリサーチで難しい場合は、現地訪問時の仮説検証項目として残しておきます。 |
| Promotion | 消費者が現地の消費者がどのようなツールで情報収集し、どのような広告に反応する傾向にあるのかを調査します。日本からアクセスできるインスタグラムやREDなど上で、自社商品やキーワード、ハッシュタグを入力し、どのような発信内容があるか。そして、どのように消費者が反応しているかを「いいね数」「コメント」などから確認します。インフルエンサーが自社と同一カテゴリの商品を取り上げていたりする場合は、その内容も注意して見ておきましょう。 また、並行して重要なのは、各国ごとのライブコマースの浸透度合いや、どのプラットフォームが使われているかの例を把握することです。近年、特にアジア圏ではライブコマースが重要なプロモーションチャネルとなりつつあります。例えば、中国ではDǒuyīn(抖音)やREDが、アメリカや台湾、香港などではTiktokが主流で、ライブコマース上でインフルエンサーに紹介された商品が急激にバズったりすることがあります。そのような動向は抑えた上で、現地視察の際にライブコマースの配信を実際に見てみるなどすることで、いざ越境ECを開始した際のマーケティング施策をこの段階からイメージすることができます。 |
このように、現地市場調査前に「この国では、〇〇な商品が〇〇なチャネルで売れている。であれば、当社の〇〇な商品を、〇〇な方法でプロモーションすれば売れるのではないか」といった具体的な仮説を構築し、その検証を現地で行うことができれば、より効率的に現地視察を進めることができます。
STEP2:市場調査中の「現地の熱狂」を感じる(現地視察)
次にいよいよ、現地市場調査です。デスクワークで立てた仮説を、現地で検証し、現地での熱狂を「肌で感じる」ことがこのフェーズの目的になります。市場調査は単なるデータ収集ではありません。現地の文化や空気感を肌で感じ取り、そこで自社が戦っていけそうかという「手応え」を掴むことが何よりも大切です。
市場調査を行う場合、いきなり各国全土の調査をすることはできません。まずは主要都市、例えば台湾だと台北、韓国だとソウル、アメリカだとLAまたはニューヨークなどの市場調査を行い、特定エリアにおける明確な勝ち筋を見つけます。
具体的に下記4つのアクションを通じて、現地での「熱狂」と「自社との相性」を感じ取ることが重要です。
- 現地のイベントや展示会に足を運ぶ
自社と同一カテゴリの商品が販売されている場所は欠かさず網羅的にチェックします。市場調査中に街を歩いてみて、気になった店舗にはどんどん入ってみることが重要です。また、同一カテゴリの販売店だけではなく、現地の熱狂が集まる場所(例えば、アニメのイベントや化粧品、生活雑貨展示会など)に実際に行き、消費者の熱量を感じ取ることも重要になります。その際に、どのような広告媒体で、どのような広告が展開されているかもぜひ写真撮影をしていて、今後のマーケティングの参考にできるようにしましょう。
- 日系店舗を訪問する
自社と同一カテゴリではなくても、現地に出ている日本の商品や日本ショップを巡ることは、日本の商品が現地でどのような価値を持って受け入れられているかを知る絶好の機会です。日系ショップで販売されている商品の日本と海外での価格の違いを比較し、日本商品の価値や受容度合いを体感します。小売店だけでなく、飲食店などにも訪問し、どのように日本が受け入れられているか消費者を観察してみましょう。日系店舗を訪問する際は、いつ各店舗がその国に上陸しているのか、他にどのような国に上陸しているのかなどをネット検索し、海外展開の歴史を知ることも、今後の多国化展開の際の参考になります。
- 現地のECサイトやサービスを利用する
近年、現地でも eSIMなどを活用し、現地の電話番号を簡単に手に入れるようになってきました。simフリーのスマートフォンを利用している場合、例えば、airaloというサービスを利用すると、簡単にesimを購入でき、電話番号を手に入れることができます。電話番号が手に入れられたら、現地のECサイトを実際に使ってみましょう。EC内でどのような商品がどのような価格で販売されているか確認します。その際に、何日でその商品が届くのかも明確にしましょう。配送スピードが早いことは消費者にとって価格と合わせて重要な要素です。
また、自社の商品が仮に海外サイトで販売されている場合は、その販売元がどのような企業なのかをみてみましょう。その会社に実際にヒアリングしたり、現地企業とのB2B取引のポテンシャルなどを再確認することで、越境EC展開の必要性を再確認することができます。
各国のメジャーな販路としては、台湾momoやShopee、韓国ではCoupang、香港ではHKTVmallといったサイトは確実に触ってみるようにしましょう。ユーザーとしての購買体験をイメージできることで、価格、決済方法、配送スピードなどを意識して、越境ECによる差別化を検討できるようになります。
- 現地のインフラを体験する
現地の消費者行動を理解するには、さらにいうと、コンビニやスーパーといった生活インフラに行ってみるのも重要です。例えば、台湾や韓国ではコンビニが荷物の受け取り場所やカフェとしても機能しており、生活に深く根付いています。一方で、香港のコンビニは単なる小売店に過ぎません。こうしたインフラの状況は、その国の消費者の生活様式や購買行動を理解する上で重要なヒントになります。
現地市場調査に関しては、可能な場合は複数の国に訪問し、同じ視点で複数国を比較して見てみることも重要になります。その国で感じた雰囲気、熱狂、違和感がその国だけのものなのか、グローバルで共通なのかを理解することで、越境ECでの成功にさらなる自信を感じることができるようになります。
STEP3:市場調査後の「仮説の再構築」(分析と比較)
最後に、現地調査で得た「熱狂」を、再び冷静な分析に戻し、仮説を再構築し、具体的な事業計画などを策定していきます。
- 収支シミュレーションの再構築
デスクリサーチで立てた仮説に、現地で得た生の情報を加味した収支シミュレーションを再構築します。現地市場調査で明確になった、自社越境ECの優位性を元に価格を設定し、売上目標を設定。物流費、関税、現地での広告費用など、より正確なコストを算出し、本当に事業として成り立つかを最終確認します。
- マーケティング戦略と、事業ロードマップ策定
最終的な展開国が決まったら、事業推進を具体的なロードマップにも落とし込んでみます。特に現地視察を通じて、どのようにマーケットインをしていくか具体的なマーケティングのイメージを行い、越境EC立上げまでの具体的なコンパスを描いていきます。
- 現地パートナーの選定
上記で描いたシュミレーションとロードマップをもとに、具体的に協業したい物流会社や決済会社、マーケティング代理店をリストアップし、商談を進めます。彼らとの連携体制を構築することで、現地解像度をさらに高めることができ、スムーズな事業立ち上げが可能になります。
- 顧客の声の反映
現地調査中にヒアリングした顧客や、SNSでの反応を分析し、商品やマーケティング戦略に反映させます。具体的には価格、商品名、パッケージなどがそのままで良いのかを明確にし、現地に合わせたプロモーションの方向性調整など、ユーザーファーストなマーケティングアプローチを確立します。
まとめ:市場調査は越境EC成功のための欠かせない第一歩
市場調査は、越境EC事業における失敗リスクを最小化するための羅針盤です。本記事で解説した3つのステップ「仮説構築」「現地の手触り感の確認」「仮説の再構築」で市場調査を行うこと、「なんとなく」この国はいけそうから、「この国なら勝てる」という確固たる自信を持って事業をスタートさせることができるようになってきます。
市場調査は一回では終わりません。仮説構築 > 検証のサイクルをどれだけスピード感を持って、手触り感を持って実行できるかで事業成功の確度が変わります。無理にでも時間を作り、現地市場調査を行うことで、現地の熱狂から自信を得た越境ECの展開を行っていきましょう。


