展開国選定の決定方法 6つの指標で失敗しない市場を見極める方法②

この記事で抑えておくべきポイント
  • どの国から展開すべきか、市場を選定するために重要になる6つのポイント
  • 組織、物流、国際情勢という環境から見た市場選定のポイントを抑える

本記事では、前の記事に続き、市場を見極める方法として重要な視点を物流、国際情勢の視点から説明します。

展開国選定の決定方法 6つの指標で失敗しない市場を見極める方法①

  • どの国から展開すべきか、市場を選定するために重要になる6つのポイント
  • 海外市場で自社商品のニーズがどの程度顕在化しているかを知る方法
  • 自社商品の競争優位性をどのように構築するか

4つ目の選定軸:事業推進の実行体制(組織観点)

市場選定の論点の中で、ここまでは客観的に見た市場の大きさやポテンシャル、参入障壁を見ました。次に重要なのは、自分たちを俯瞰して、「自分たちがその国で実行をやり切れるか」という視点です。どんなに有望な市場でも、実行できるチーム体制がなければ、絵に描いた餅に終わります。実行できるチームは市場選定の上で作っていくこともできますが、実行体制構築に向けて、すでに強みが社内にある場合、大きなアドバンテージになります。

いざ越境ECを展開し始めた上で、その後の実行体制として重要になるのは下記のポイントです。

言語対応能力

越境ECを展開する際に重要になるのは言語対応が正確にできるかです。言語対応とは単にサイトの言語を現地後に翻訳することだけではありません。消費者からの問い合わせに対して、カスタマーサポートの対応が正確に現地言語でできるかも非常に重要であり、言語対応の正確さによって、越境ECにおけるコンバージョンが変わります。

また、マーケティング活動においても、適切な表現で正しくサービスのよさを伝えられるかが重要です。片言の日本語の広告を見ても、信頼できないのと同じです。近年、AIの進化により、簡単に翻訳ができるようになり、越境でのサービスが展開しやすくなりました。だからこそ、翻訳ツールだけではカバーできない、現地のニュアンスでのサイト構築、カスタマーサポート、マーケティングができるかが差別化のポイントとなります。

上記を全て自社で対応する必要ははありません。現地に精通したパートナーがいる場合は、それも大きなアドバンテージになります。越境ECを全て現地の自社メンバーや現地法人で展開していくことは多くの企業にとって、リソースの観点で難しいでしょう。そのような場合に、現地の市場に詳しいコンサルタントやマーケティング代理店の存在が極めて重要になります。

現地に精通したパートナーをうまく活用して、現地での市場調査や言語対応をうまく行うことで、自社リソースに依存しない越境ECの多国化展開展開が夢ではなくなってきます。

越境EC展開国の地理的な近さ

もう一点、越境ECを実行してみた際に、実は重要なのが、越境EC展開国の地理的な近さです。なぜ近い方が重要かでいうと、上述の通り、現地パートナーを利用して、越境ECを展開したとしても、展開前の市場調査や展開後の現地視察、トラブル対応などの際に現地を訪れる必要性があり、高頻度で訪れる必要があるからです。それゆえ、物理的な距離が近い国は、越境EC展開において、マネジメントがしやすくなります。

ただこの視点は、クリティカルな参入障壁にはなりません。市場が大きいのはアメリカや欧州という話を前の記事でしましたが、地理的に遠い場合、逆に旅行客が少なく、また展開難易度のため、まだ日本商品の流通が少なく、市場ポテンシャルは大きいこともあります。

地理的な近さの視点は、あくまで最初の越境EC展開国を選定する際の難易度の観点から、考慮するのみで良いでしょう。

5つ目の選定軸:各国のインフラ成熟度

次に、さらなる市場の理解を行い、最終的な越境EC展開国を選定をしていくタイミングでは、各国のインフラサービスの品質を確認します。具体的に越境EC展開に重要なのは、物流インフラと決済インフラです。

越境ECにおける物流インフラ

物流は、顧客体験を左右する重要な要素です。「国際配送料がやすいこと」「物流品質が高く、安全に商品が届くこと」の2つは越境ECにおいて、大きな優位性になります。

物流インフラで考慮すべきこととして、まずは、各国の物流品質、具体的には、「物流倉庫・配達中の商品の取り扱い」「配送遅延の有無」「商品破損リスク」です。日本国内のECにおいては、各配送会社が丁寧に商品を配達してくれ、商品破損が生じることもあまりないでしょう。一方で、海外の配送においては、倉庫や配送中に商品が投げられて箱が潰れ、中の商品が壊れてしまうことも多くあります。

また、配送も日本では日時指定ができ、日時通りに配達されるのが当たり前ですが、海外においてはそうではありません。日本からの配送においては、国際郵便(EMS)、国際宅配便(DHL, FedEx)などを利用して配送することが一般的ですが、各国でのラストワンマイル(現地に届いてから、消費者宅に届けるまでの配送)は現地の配送会社が担うことが多くあります。

どのような会社がどのような物流サービスを提供しているか。各国の追跡サービスは成熟しているか。を理解できると、実際の展開時にも安心して物流サービスを提供することができるようになります。また、越境ECには国内以上に返品がつきものです。日本の返品率は4%〜10%ですが、海外においては、30%程度ある国もあり、また前述の通り韓国のようにクーリングオフで返品がしやすい国の存在します。

返品や交換をスムーズに行える体制を物流パートナーと一緒に現地で構築できるか。という視点も、プラスアルファですが、検討できると良いでしょう。物流に関しては、通関等も含め複雑なことが大きいため、まずは物流パートナー候補となる会社に相談してみるのが良いでしょう。

越境ECにおける決済インフラ

物流と合わせてみておきたいのは各国の決済インフラと各決済手段の利用割合です。ほとんどの先進国でクレジットカードが主流であり、クレジットカードで大多数の消費者をカバーできるため、まずは越境ECにおけるクレジットカード払いに対応できれば問題ありません。一方で、中国や東南アジアではクレジットカードはあまり利用されず、AlipayやWechatpayなど現地の決済手段が主流になります。

越境ECを展開する際に、まずはクレジットカード対応である程度消費者ニーズをカバーできる国を選定できると参入障壁が低くなります。クレジットカードの次の展開としては、StripeやAdyenなどの国際決済ソリューションサービスを利用し、自社越境ECを展開する。または、中国等の場合はTmall国際などのモールに出店し、決済手段までモールのソリューションを活用するなどの対応をすることで複数の決済に対応し、展開国を広げることができます。決済手段の多様性は、越境ECにおけるコンバージョンに影響しますので、国の選定時には考慮が必要です。

6つ目の選定軸:為替と経済の安定性をみ定める

最後の視点は、越境ECのタイミングにまつわる視点です。近年、世界を取り巻く経済は大きく変動しています。例えば、アメリカ向け輸出の関税率変更に伴い、世界の為替市場は大きく動きました。中国からアメリカへの関税が不安定に変動したことにより、元の為替相場が悪化し、直近中国経済が停滞していました。アメリカに向けた輸出入に関する規制は、今後も忙しく動く可能性があります。また、アメリカだけでなく、今後EUに向けた関税制度等が変動することもゼロではありません。

制度が一つ変われば、世界的な為替が変動し、世界経済が大きく変化します。そして、その変化は消費者の消費行動、強いては、越境ECの展開にも大きく影響します。

為替や経済については、予測ができない要素であるため、あまり考慮しすぎる必要はありませんが、急激な為替変動が発生する可能性などは越境EC展開時には考慮した上で、国の選定、事業計画の策定を行うようにしましょう。

まとめ

ここまで、越境ECの展開国選定軸を説明してきました。今回あげた6つの視点をすべて完璧にクリアする必要はありませんし、クリアすることはできません。重要なのは、それぞれの指標を複合的に評価し、自社の強みと弱みを客観的に見極めるた上で、リスクも想定して、展開国を選定することです。例えば、法規制は厳しいが、自社商品の競争優位性が非常に高い市場であれば、あえて挑戦する価値はあります。

この記事で提示した6つの視点を参考に、越境EC事業における「最善の選択」を導き出してください。そして、より詳細な事業計画の策定や、専門家への相談をご希望の場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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