越境ECシステム、プラットフォームを徹底比較 失敗しない越境チャネルの選び方

この記事で抑えておくべきポイント
  • 自社ECを展開する際の各システムの違いを理解する
  • モール出店する際の、それぞれのモールの特徴を理解する

はじめに

越境ECを始める際、最も重要な決断の一つが、システム面です。前の記事で説明したモデルの中で、自社越境ECのモデルを選択した場合は、どのようなシステムを活用して、越境ECを展開するか。モール型の出店モデルを選択した場合においては、世界中のモールの中から、どのモールを利用するか。は非常に重要な判断になります。

初期のシステム・モール選定で躓いてしまうと、その後の運用が大変になったり、せっかく作ったものが無駄になってしまう可能性があります。ここでは、越境ECで主に採用される「自社越境EC」と「モール型」の2つのモデルを徹底比較し、越境ECを始めやすい方法をお伝えします。

越境ECのビジネスモデル構造を徹底解説!コストから具体的なサービスまで、まるっと理解

  • 自社越境EC、代理購入、モール出店の3つのビジネスモデルのメリット・デメリットを理解する
  • ビジネスモデルによって異なる越境ECのコスト構造を理解する

1. 自社越境ECを展開する場合:Shopifyの活用が非常に有効

自社越境ECは、自社のブランドを世界に届けるための最も自由度の高い方法です。商品の販売から国際配送、顧客対応、マーケティングまでを一貫して行うため、自社のブランドをあらゆる角度から伝えることができます。一方で、難易度が高いからこそ、どのようなシステムを構築するかが非常に重要になります。その中で、越境ECを展開するにあたり、ゼロから越境ECを展開する場合においては、数あるプラットフォームの中でも、Shopifyが越境ECにおいて圧倒的な強みを持っています。今回の記事ではShopifyに関して、詳しくお伝えします。

Shopifyとは?なぜ世界中の企業が利用するのか

Shopify(ショッピファイ)は、誰でも簡単にオンラインストアを構築・運営できる、世界最大級のECプラットフォームです。専門的な知識がなくても、直感的な操作で、驚くほど短期間でプロフェッショナルなECサイトを立ち上げることが可能なサービスです。Shopifyは個人事業主から中小企業、そして世界的な大企業まで、あらゆる規模のビジネスに利用されています。大企業では、例えば、「日清食品」のオンラインサイトはShopifyで作成されており、他にも「Soup Stock Tokyo」や「オリオンビール」などのサイトでも利用されており、セキュリティ上の安心して利用できます(参考)。

Shopifyの強みとして大きいのは、下記の3点です。

  • 圧倒的な使いやすさ: コーディング知識がなくても、豊富なテンプレート(テーマ)からデザインを選び、簡単にカスタマイズが可能。メルマガ配信などもShopifyから可能であり、誰でも簡単にマーケティングまで可能
  • スケーラビリティ: 個人事業主から大企業までが利用しており、大企業にも対応できるシステムを兼ね備えているため、事業規模(取引数量や商品数)が拡大しても、柔軟に対応可能
  • 豊富なアプリ(ミニアプリ)エコシステム: 外部開発会社によって、Shopifyのために作られたミニアプリ数千ものアプリが存在し、その中から必要なアプリを選択して、簡単に利用することができるため、システム追加の柔軟性が非常に高い。在庫管理、マーケティング、顧客サポートなど、あらゆるニーズに対応するアプリが揃っており、必要な機能だけを自由にカスタマイズが可能

Shopifyが国内EC構築においても優れている理由

越境ECに関係なく、どのECシステムを選択するかを選ぶ際に、Shopifyと比較してよく出てくるのが、BASEやWixという誰でも簡単にECサイトを構築できるサービスですが、Shopifyは上記3点、特に「スケーラビリティ」「豊富なアプリエコシステム」においては、Shopifyは非常に優位性が高いです。

そして何よりも、他のサイトと比較し、グローバル企業により開発されたシステムであるため、越境ECに対する機能の充実が非常に多いです。この点に関しては後述します。

具体的なBASEとWixとの差は下記になります。

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比較項目ShopifyBASEWix
主なターゲット中小企業から大規模ブランドまで、グローバル展開を志向する事業者初心者、個人事業主、手軽にECを始めたい人ウェブサイトとECサイトの両方を手軽に作りたい人
越境ECへの対応◎ 多言語・多通貨対応が標準機能で充実・関税計算や国際送料を自動計算するアプリが豊富・各国の決済方法に柔軟に対応△ 多言語・多通貨対応が基本的にできない・海外からの注文受付は可能だが、翻訳や通貨換算は手動対応が必要△ 多言語対応は可能だが、多通貨対応は限定的・越境ECに特化した機能は少なく、カスタマイズが必要
スケーラビリティ◎ 事業規模が拡大しても安定した運用が可能・大企業向けの「Shopify Plus」も提供△ 大規模なトラフィックや商品数には不向きな場合も△ 大規模なECサイト運用には機能が不足する場合も
決済機能クレジットカード、PayPal、Shop Payなど、世界中の主要な決済方法に対応クレジットカード、キャリア決済、コンビニ決済など、日本国内の決済方法が中心クレジットカード、PayPalなど、主要な決済方法に対応
アプリ(拡張性)◎ 数千種類のアプリがあり、越境ECに特化したアプリが非常に充実△ 拡張機能は存在するが、Shopifyに比べて越境EC関連は少ない△ アプリは存在するが、EC機能は限定的
費用構造月額利用料+決済手数料(プランによって異なる)初期費用・月額利用料は無料。手数料が売上に応じて発生月額利用料+決済手数料(プランによって異なる)

表から明らかなように、BASEやWixは国内ECを手軽に始めるには優れたサービスですが、越境ECを本格的に展開するならShopify一択と言えるでしょう。多言語・多通貨対応、そして越境ECに特化した豊富なアプリは、ビジネスをグローバルに拡大する上で必要不可欠な機能です。

越境ECにおけるShopifyの凄さ

では具体的に越境ECとして、どのような点がShopifyの強みでしょうか。ただ多機能なだけでなく、越境EC事業者の「痒い所に手が届く」設計になっているからです。

  • 多言語・多通貨への簡単な対応(自動翻訳): Shopifyの標準機能として、多言語・多通貨対応が備わっています。顧客は自分の言語と慣れ親しんだ通貨でスムーズに買い物ができます。例えば、日本のサイトにアクセスしたアメリカの顧客には自動で英語とドル表示に切り替わり、煩わしさがありません。また、文章も無料で2言語まで翻訳してくれるため、何も特別なことなく、市場の大きい英語と中国語の言語対応が可能になります。
  • 簡単なロケーション設定:どの国で販売するかが重要であると前の記事で話しましたが、Shopifyでは、自社が選択した各国のみに販売できる機能が備わっています。そして、自社が選択した国の中で、その国に合わせた商品価格設定や配送料金の設定が非常に簡単にできます。特定の国・地域向けに、商品金額や送料を変更する設定も、管理画面から直感的に行えるため、多国展開している場合も非常に運用がしやすいのが特徴です。
  • 外部アプリを活用した越境ECのさまざまに対応:Shopifyの最大の強みであるアプリエコシステムは、越境ECのさまざまな課題を解決してくれます。例えば、越境ECで最も厄介な関税対応に関して、DDP(関税元払いでお客さまに関税の透明性を担保し、トラブルを防ぐ)に対応するための関税自動計算サービスであるZonosAvalaraといったアプリを利用すると、顧客の住所や商品の内容に応じて正確な関税と税金を自動で算出し、決済時に表示できます。これにより、顧客は商品到着時に予期せぬ関税を請求されることがなくなり、安心して購入できるため、顧客体験が向上します。このような越境EC特有の課題を解決するアプリが多数備わっており、安心して、越境ECを開始できます。
  • グローバルな信頼性:Shopifyはグローバル企業が展開するサービスで、認知度も非常に高く、世界中のEC事業者から支持されているため、プラットフォーム自体が顧客からの信頼を得ています。この信頼があることで、海外で新しいブランドを立ち上げる際に、システムに対する購入者の不安を解決でき、安心してECの提供が可能になります。

Shopifyはもはや自社越境EC構築の「常識」となってきています。もしも、「海外で自分のブランドを育てたい」と本気で考えているなら、自社越境ECモデルを検討し、Shopifyの活用を検討してみるのが良いでしょう。

2. モール型越境ECの失敗しない選び方

自社越境ECを展開しない際に、次の展開方法として選択肢に上がるのが、モール型での展開です。モールの最大のメリットは、集客力と手軽さです。海外でのマーケティングに自信がなくても、消費者が定着した場所に自社の商品を掲載することができます。一方で、モール型のモデルを選択する際の課題が、世界中にECモールやプラットフォームが多くて、どのモールを選べばいいかわからないことにあるのではないのでしょうか。今回は、どのような判断軸でモールを選ぶべきか。そして、世界にどのようなモールがあるか、各国で選ぶべきモールをご紹介します。

モール型越境ECの選定軸

モール型越境ECを選定するにあたって、最も重要な選定軸でまずモールの候補を絞り込む場合、選定軸として重要なのは、

  • どの国に展開したいのか:どの国に強いかがモールによって異なるので、大枠絞ることができる
  • なんの商材を売りたいか:どの商材に強いのかがモールによって異なるので、これで完全に絞ることができる

の2点です。この2つのポイントを踏まえ、世界的に大きなモールを見てみましょう。

Amazon Global Selling

世界最大のECモールとして圧倒的なブランド力と顧客基盤を持ち、日本から英語圏のアメリカ、イギリス、オーストラリアなどに販売ができます。JETROが、Amazonとの連携プログラムを提供しており、初期のストア開設手続きや、海外ビジネスに関する情報提供、セミナーなどをAmazonのEC担当が支援しながら、越境ECにチャレンジできます。物流もFBA(フルフィルメント by Amazon)という独自の物流サービスを利用すれば、商品の保管から梱包、発送、カスタマーサポートまでをAmazonが代行してくれるため、物流の負担を大幅に軽減できます。

ただし、Amazon Global Sellingの場合、独自の物流サービスを利用するには、海外倉庫に商品を納品する必要があり、納品の左”ポートもありますが、その点は一点課題になります。ただ、現地倉庫で預かる分、消費者に商品が届くスピードは速くなるため、消費者の満足度は高くなる傾向にあります。

商品カテゴリとしては、どんな商品でも強いのがAmazonの特徴です。一方で、どんな商品も強いからこそ、商品が埋もれてしまう可能性があります。From Japanの強みを活かせる商品。現地である程度の認知が確保できている商品と相性が良いでしょう。

eBay

アメリカを中心に日本から販売できるプラットフォームで、アメリカにおけるCtoC(個人間取引)からBtoCまで多様な商品が取引されるグローバルマーケットプレイスです。基本的には中古品が取り扱いされており、ニッチな商品やコレクターズアイテム、ヴィンテージ品が活発に取引されています。希少な商品や中古品、一点ものといった個性的な商材を扱っている個人事業主や、初期費用を抑えて世界中の顧客にアプローチしたい事業者に好ましいプラットフォームです。

Shopee

台湾と東南アジアで圧倒的なシェアを誇る、アプリ体験を中心としたECモールです。ライブコマースやゲーム、クーポンなどのエンタメ要素が豊富で、若年層に強く支持されており、台湾や東南アジアで、日本でいうAmazonや楽天のような使い方がされており。ファッションや美容品、生活雑貨が中心に取り扱いされています。Shopee担当者による手厚いサポートもあり、日本から東南アジア市場への越境ECにチャレンジしたい事業者にはおすすめです。

Lazada

Shopeeと並ぶ東南アジアの主要なECモールで、Alibabaグループの傘下です。故に、アパレルや美容品、家庭用品など、幅広い商品カテゴリに強みを持っています。東南アジアに進出するとなると、まずはShopeeが第一に頭に浮かびますが、2モールを同時に出店できる余力がある場合は、Lazadaへの出店を検討してみても良いでしょう。

Tmall Global (天猫国際)

中国最大のECグループであるAlibabaが運営する、信頼性の高い越境ECプラットフォームです。中国市場への圧倒的なリーチが魅力があり、Tmall Globalへの日本企業出店を支援する企業も多く存在します。中国で圧倒的No.1の利用率のため、多くのユーザーが登録する中で戦いたい場合はおすすめです。一方で、競合サービスも多く、出店するだけで売れることは全くありません。

中国ではモール出店で販路を開けるとともに、SNS運用やライブコマースなど幅広い手法を駆使して戦う必要があります。時間とお金をかけて、王道のモールで戦っていきたい場合はおすすめです。

Coupang (クーパン)

韓国で圧倒的なシェアを誇るECモールで、日本でのAmazonのような使い方がされています。「ロケット配送」に代表される迅速な配送が最大の強みです。生鮮食品や日用品など、生活に密着した商品が活発に取引されています。Coupang(クーパン)は日本から韓国に出店する場合は最大のモールになりますが、Coupang(クーパン)の配送スピードになれた消費者に対して、越境ECという一定時間のかかる戦い方をする必要があるので、戦いは非常に難しくなります。ただ、Coupang(クーパン)もフルフィルメントサービスは提供しており、韓国に一括で納品すれば、「ロケット配送」で届けられるサービスもあるので、合わせて検討できると良いでしょう。

韓国は自国の商品・コンテンツにありふれており、越境ECに対する規制等もあるため、越境ECでの成功が比較的難しい国ではありますが、韓国に挑戦したい時はCoupang(クーパン)にチャレンジすることをお勧めします。

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モール名カバー国・地域強みの商材強み物流の方法
Amazon Global Sellingアメリカ、イギリスなど日用品、ガジェット、ホビー、書籍圧倒的な集客力とブランド信頼性自身で売れるたびに発送するか、一度現地にまとめて納品し、FBA(フルフィルメント by Amazon)を活用して、Amazon現地倉庫から発送するか、いずれかを選択
eBayアメリカヴィンテージ品、ホビー、中古品、コレクターズアイテム世界的なリーチとニッチな商品との相性自身で国際配送の対応が必要
Shopee台湾・東南アジア(シンガポール、タイ、インドネシアなど)ファッション、美容、生活用品ライブコマース機能、東南アジアでの高い人気公式の物流サービスであるSLS(Shopee Logistics Service)が利用でき、日本の出品者は、商品を国内の指定倉庫に発送するだけで、その後の国際配送、通関手続き、最終的な顧客への配送までをShopeeが代行してくれるので、簡単に発送が可能
Lazada東南アジア(シンガポール、タイ、インドネシアなど)アパレル、化粧品、ホームセンター用品ライブコマース機能、Alibaba傘下Shopeeと同様に、Lazadaも独自の物流サービスLGSを提供しています。日本の指定倉庫に出品者が商品を配送すると、その後の国際配送、関税手続き、各国の現地配送をLazadaが代行
Tmall Global (天猫国際)中国化粧品、食品、アパレル、高品質な日用品中国での圧倒的なブランド力、信頼性アリババグループが提供する独自の物流ネットワーク「菜鳥網絡」の物流業者と連携し、商品の梱包や配送手続きをスムーズに行う体制を自社で構築が必要
Coupang (クーパン)韓国生鮮食品、日用品、家電韓国での圧倒的な配送スピードCoupang Marketplace Shipping (CMS)という、出品者が日本の倉庫から直接、韓国の顧客へ国際配送を行うサービスと、Coupang Fulfillment Services (CFS)という、クーパンが提供するフルフィルメントサービスのどちらかで対応。フルフィルメントサービス利用の場合は、商品をまとめて韓国のクーパン倉庫へ送ると、クーパンの強みである「ロケット配送」が適用される。

上記がメジャーなモール、プラットフォームになります。このモールから、「どの国に展開したいのか」「なんの商材を売りたいか」の2つの軸でどのモールに出店するのが望ましいか、検討していくと良いでしょう。

さらに日本国から気軽に始められる越境ECの方法としてメルカリShopsがおすすめ

越境ECと聞くと、専用のサイトを構築したり、海外モールに出店したりと、手間やコストがかかるイメージがあるかもしれません。越境ECの難易度が高いと感じる際に、実は日本のモールに出店するだけで、越境販売を開始できる方法もあります。それが、メルカリを通じた越境EC販売です。メルカリの中のB2Cモールであるメルカリショップスを使えば、簡単に手軽に世界へ商品を届けられます。

メルカリショップスに出品した商品は、特別な手続きをすることなく、自動的に海外のパートナーサイトへ掲載され、世界120カ国以上からの購入が可能になります。これは、日本のECプラットフォームであるAmazonや楽天にはない、メルカリ独自の強みであり、国内販売の延長線上で、世界中のユーザーにアプローチできるため、越境ECへの第一歩として非常に有効な手段になります。

基本的なモール出店の流れ

上記でモールへの出店方法を説明しました。モールへの出店方法はそれぞれ異なり、モールを決めた後、まずは問い合わせをして、担当者の話を聞いてみると良いですが、一般的には下記のステップに沿って、出店を行います。

  1. アカウント作成: モールに事業者として登録
  2. 情報登録: 事業者情報、銀行口座情報、商品情報を登録(この際に現地の口座が絶対に必要になるモールもあるので注意して、必要情報を確認しましょう。)
  3. 審査: モールによっては、ブランドの審査や企業情報の確認が行われます。
  4. 出品: 商品情報を登録し、販売を開始します。
  5. 物流設定: 配送方法や関税の負担方法などを設定します。FBA(フルフィルメント by Amazon)などのサービスを利用する場合は、商品を倉庫に発送します。

まとめ

今回は越境EC展開のモデルにおける、自社越境ECと越境モールEC出店におけるシステム、モールの選び方を説明しました。まずは越境ECを試してみることが重要です。自社が簡単に試せる方法を探り、チャレンジしてみましょう。そして「自社越境EC」と「モール型越境EC」は、どちらか一方を選ぶのではなく、両方を活用することで、それぞれの強みを最大限に活かすことができます。例えば、モールで認知度を高め、その後、自社ECサイトに顧客を誘導するといった戦略も有効です。

チャレンジできるところから、越境ECにチャレンジし、国そして販路を拡大する戦略を描いていきましょう。

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