各国の検索エンジンをハックする!グローバルSEO戦略

この記事で抑えておくべきポイント
  • 海外における検索エンジンを活用したSEOの考え方を学ぶ
  • 各国で利用される検索エンジンを知る

はじめに

越境EC(E-commerce)の市場規模が拡大し続ける現代において、「自社の商品・サービスを世界中の潜在顧客に届ける」ことは、ビジネス成長の最重要課題です。国内の顧客だけを対象としていた時代と異なり、海外市場へ進出する際には、各国の文化、商習慣、そして「検索エンジン」「SNS」の特性を理解した戦略が不可欠となります。その中でも特に、直接的に潜在顧客にアプローチできる「検索エンジン」を有効活用できるかどうかは、越境ECの成功を左右します。

単にウェブサイトを多言語化するだけでは不十分です。各国の検索エンジンで自社のコンテンツを上位表示させ、ターゲットユーザーに見つけてもらうための施策、すなわちグローバルSEO戦略を体系的に構築し、実行する必要があります。

本記事では、越境EC事業者様が成功するためのグローバルSEO戦略について、その基本的な考え方から、各国・地域ごとの検索エンジン最適化(SEO)の方針、さらには海外リスティング広告との連携に至るまでを解説します。

海外SEOにおける基本的な考え方

海外における「検索エンジン」の有効活用、すなわち「海外SEO」は対策をする「検索エンジン」「言語」そして、根本的な考え方から大きく異なります。それゆえ、国内SEOの経験があっても、海外SEOはそのままでは対応できません。アプローチ方法を根本的に見直し、新しい視点で対策に取り組むことが重要です。

グローバルSEOとローカルSEOの定義と違い

グローバルSEOは、ウェブサイトを国境を越えた複数の国や言語圏のユーザーに最適化し、検索結果で上位表示を目指す戦略です。この戦略の主な目的は、国際的な顧客を獲得し、越境ECなどでの世界規模の売上とブランド認知度を最大化することにあります。

ターゲットは特定の物理的な場所ではなく、特定の言語を話すユーザーや、特定の国の市場そのものです。そのため、ウェブサイトを多言語化するだけでなく、検索エンジンに対して「このページはどの国・言語向けか」を正確に伝える技術的な設定(hreflangタグの実装やドメイン構造の選択)が非常に重要になります。そして、コンテンツのローカライゼーション(地域適応)、つまり、現地の文化や習慣、使われるキーワードのニュアンスに合わせた調整も必須です。

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項目グローバルSEO (Global SEO)
主な目的国際的な顧客獲得とブランドの世界規模の認知度向上
ターゲット複数の国・言語圏のユーザー。物理的な場所よりも言語・市場
主要な施策hreflangタグの実装(後述)、ドメイン構造の選択、コンテンツのローカライゼーション
検索結果の表示主にウェブサイトやブログ記事など、通常の検索結果(SERP)のリスト。
越境ECとの関係越境EC事業のメイン戦略。国境を越えた販売に必須。

グローバルSEOにおいては各コンテンツの現地へのローカライズが非常に重要になります。

言語のローカライゼーション

単なる直訳ではなく、その国・地域特有の言い回し、スラング、文化的なニュアンスを理解し、現地の人が自然だと感じる言葉遣いにすること。そうすることで、コンテンツの閲覧数が伸び、検索上位に表示されるようになります。

キーワードのローカライゼーション

ターゲット国のユーザーが実際に検索する現地の検索クエリを採用することが重要です。例えば、日本の陶磁器を販売する際に、対策すべきキーワードがアメリカでは、「japanee pottery」で対策をするとして、フランス語では「potiers japonais」、中国語では「日本 陶瓷」と言ったように対策すべきキーワードがエリア・言語によって異なります。故にキーワードのローカライゼーションが非常に重要になります。

国際ターゲティングの基本:ドメイン戦略とhreflangタグ

グローバルSEOにおいては、検索エンジン(特にGoogle)に対して、「このページはどの国・言語のユーザーに向けたものか」を正しく伝えるための施策が不可欠です。

もし、英語ページもフランス語ページもすべて同じドメイン(例:example.com)にごちゃ混ぜにしてしまうと、検索エンジンは混乱し、「このページはアメリカ向け?それともイギリス向け?それとも、すべての英語圏向け?」と判断できず、結果としてどの国でも上位表示されにくくなってしまいます。

そのため、コンテンツを国や言語ごとに分けて格納する「ドメイン構造」を決める必要があります。

ドメイン構造の選択

具体的には、自社越境ECのドメインに対して、下記3つのパターンのどれかを選択し、言語ごとに国別のディレクトリを作成します。おすすめは、サブディレクトリを国別に使い、国ごとの出し分けを行うことです。

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ドメイン構造メリットデメリット
ccTLD (国別コードトップレベルドメイン)example.fr (フランス)各国での信頼性、地理的ターゲティングが明確運用コストが高い、国ごとにドメイン取得が必要
サブディレクトリexample.com/fr/導入が容易、ドメインパワーを一元化できる地理的ターゲティングの強度がccTLDに劣る
サブドメインfr.example.comホスティングの柔軟性が高いSEO効果が一元化されにくい、管理が複雑化しやすい

hreflangタグの実装

hreflangタグは、複数の言語や地域に対応するページがある場合に、検索エンジンに正しい言語バージョンを伝えるために必須のHTMLタグです。

ドメイン戦略で「箱」の分け方を決めたとしても、検索エンジンはまだ混乱する可能性があります。

  • 問題: 英語で「Sneakers(スニーカー)」と検索しているユーザーがいます。あなたのサイトには「アメリカ英語のページ」と「イギリス英語のページ」があります。どちらを表示すればユーザーは満足するでしょうか?
  • 答え: 検索エンジンは、ユーザーがいる国(アメリカ)に最も適した「アメリカ英語のページ」を表示する必要があります。

この「ユーザーの国・言語に最も適したページを検索結果に表示させる」ためのナビゲーターの役割を果たすのが、hreflangタグです。hreflangタグは、「AページはBページの別バージョンである」「BページもAページの別バージョンである」と互いに別バージョンがあることを教えるものです。

これがないと、検索エンジンは誤った言語のページを表示してしまい、ユーザーは離脱し、SEO評価も低下します。また、類似したコンテンツが複数あると検索エンジンに「重複コンテンツ」と誤解されるのを防ぐ役割もあります。

具体的には、下記のように、別バージョンのページがあることを各ページで表現していきます。

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ページ説明記述例(HTMLの<head>内)
日本語ページフランス語ページと英語ページの存在を検索エンジンに教える。<link rel=”alternate” href=”https://example.com/fr/” hreflang=”fr”>
<link rel=”alternate” href=”https://example.com/en/” hreflang=”en”>
<link rel=”alternate” href=”https://example.com/jp/” hreflang=”ja”>
フランス語ページ日本語ページと英語ページの存在を検索エンジンに教える。<link rel=”alternate” href=”https://example.com/jp/” hreflang=”ja”>
<link rel=”alternate” href=”https://example.com/en/” hreflang=”en”>
<link rel=”alternate” href=”https://example.com/fr/” hreflang=”fr”>

このタグを正しく実装することで、「日本語で検索しているユーザーには日本語ページを、英語で検索しているユーザーには英語ページを表示させる」さらには、「イギリスで検索しているユーザーにはイギリス版ページを、アメリカで検索しているユーザーにはアメリカ版ページを」という適切な振り分けが可能になります。

ShopifyにおけるグローバルSEO対策

ドメインに関して、自社ECで最も利用されるShopifyでは、

海外の検索エンジン最適化(SEO)に向けた各国ツールと対応方法

世界の検索エンジンシェアは、Googleが圧倒的ですが、各国・地域によってはその状況が大きく異なります。ターゲット市場に合わせた検索エンジン対策が必要です。ここでは主要な検索エンジに関して、説明します。

世界の主流:Google(対応ツール:Search Console, Keyword Planner)

世界の大多数の国(北米、ヨーロッパ、台湾、香港、南米、東南アジア、オセアニアなど)では、Googleが90%以上のシェアを占めます。基本的な対策は国内SEOと共通しますが、グローバル特有の視点でのSEO対策必要です。

Google Search Console(GSC)の活用

  • 国際ターゲティングの確認: GSCの「サイト設定」セクションで、地理的ターゲットが正しく設定されているか確認します(サブディレクトリ構造の場合は、hreflangタグが優先されます)。
  • 各国サイトの個別管理: 各言語・地域サイトごとにGSCプロパティを作成し、インデックス状況やパフォーマンスをモニタリングします。

Google Keyword Plannerを活用したキーワード選定

  • 地域と言語の指定: Keyword Plannerの「地域」と「言語」設定を、ターゲット国・言語に合わせて設定し、現地の検索ボリュームや競合性を調査します。
  • 検索意図の分析: 同じ商品でも、国によって「知りたい情報(検索意図)」が異なる場合があります。現地の検索結果ページ(SERP)を確認し、ユーザーが求めているコンテンツ形式(ブログ、ECサイト、レビューなど)を把握し、コンテンツを作成していきます。

中国:Baidu(百度)対策の特殊性

中国本土では、Googleの利用が制限されており、Baidu(百度)が圧倒的なシェアを占めます。Baidu SEOは、Googleとは全く異なるアプローチが必要です。一方で、Baidu SEO対策においては、サーバーを中国国内に置くこと、中国国内でウェブサイトを運営する場合、ICP(Internet Content Provider)ライセンスの取得が、検索速度と信頼性の点で極めて重要であり、越境ECにおけるグローバルSEO対策の難易度は非常に高いです。

故に中国への進出はこの意味でもモール型での展開が望ましいです。中国におけるモール型越境EC展開については、別記事にまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

越境ECにおける中華圏マーケット攻略:中国本土・台湾・香港、地域特性に応じた越境戦略

  • 中国本土(大陸)・台湾・香港それぞれで利用されるECやSNSの特徴を学ぶ
  • 地域特性に合わせたマーケティングをどう組み立てるべきか学ぶ

韓国:NAVER対策

韓国では、ネイティブ検索エンジンであるNAVER(ネイバー)が強い影響力を持っています。NAVERは、NAVERが保有するサービスであるNAVERブログ、NAVERカフェ(コミュニティ)、NAVERショッピングプラットフォームをSERP(検索結果ページ)の上位に表示させる傾向があります。それ故に、SEO対策は自社越境ECページと並行して、NAVERサービスを活用した運用が望ましいです。

  • NAVERサービスへの登録: 越境ECの場合、NAVER ShoppingNAVER BlogNAVER Smart PlaceといったNAVERエコシステム内での活動が、検索結果に影響を与えます。
  • 統合検索の理解: NAVERは「統合検索」と呼ばれる形式を採用しており、自社のウェブサイトの順位だけでなく、NAVERブログや知識iN(Q&Aサイト)での情報露出も重要になります。

韓国のマーケティングについては、その他にも特殊な要素があり、難易度が高い部分があります。詳細は別記事にまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

越境ECにおける韓国マーケット攻略:韓国独自のマーケティング攻略とブランディングによる差別化の重要性

  • 韓国で利用されているECやSNSの動向を理解する
  • 韓国と日本におけるマーケティング手法の違いを学ぶ
  • 韓国における越境ECで注意しないといけない重要事項と規制を学ぶ

海外リスティング広告の最適化:ターゲティングとキーワード選定のコツ

グローバルSEOは、中長期的な集客基盤を構築する上で不可欠ですが、短期間で成果を出すためには海外リスティング広告(PPC広告)の活用も必須です。SEOと広告を組み合わせることで、認知度向上と売上拡大を同時に目指します。

ターゲティングの高度化:精緻な地理的ターゲティング

購買力の高い大都市圏や、特定のニーズを持つ地域に絞って広告を配信することで、費用対効果を高めることができます。例えばアメリカでは、日本と比較し、国土が広大であり、東海岸を狙うか、西海岸を狙うかで大きく戦略が異なります。その中で、どのエリアを狙うか、もっというとどの都市(例えば、ロサンゼルス)を狙うかで広告効率が変わってくるのです。

さらには、 配送コストが高い地域や、過去のコンバージョン率が極端に低い地域を除外ターゲティングすることで、無駄な広告費を削減しながら、効率的な広告運用をすることが重要です。

海外キーワード選定のコツ

キーワードは、広告費とコンバージョン率を左右する最も重要な要素です。

ロングテールキーワードの活用

グローバル市場では、競合が多いビッグキーワードでの競争は激しく、広告単価(CPC)も高騰しがちです。例えば、単なる「Japanese Kimono」は競合が多く、広告単価が高い可能性があります。そのため、「authentic handmade Kyoto silk kimono for women」といった検索数は少ないが、広告単価がやすいロングテールキーワードを寄せ集めることで効果を創出していく考え方が重要です。ロングテールキーワードを積極的に採用することで、コンバージョン率の高い、購買意欲の高いユーザーにリーチし、CPCを抑えることができます。

検索意図に合わせた広告文の作成

現地のユーザーの検索意図を深く分析し、広告文に反映させます。情報収集段階の消費者を狙う場合、 「〇〇とは」「レビュー」といった検索語に対しては、製品の特長やメリットを訴求する広告文を、購買段階の消費者を狙う場合は、「最安値」「送料無料」「セール」といった検索語に対しては、具体的な価格、特典、限定オファーを明確に記載した広告文を採択するなど、各国における自社商品の浸透度合いを元に、国別に戦略を立てて、運用することが重要です。

現地語の「言い換え」と「スペルミス」への対応

現地語の専門家やネイティブスピーカーと連携し、同じ意味を表す複数の言い回しをキーワードに追加します。そうすることで、ロングテールキーワードを抜け漏れなく選定することができます。海外の方が日本の商品を検索する際は間違えたワードで検索することも少なからずあります。 検索ボリュームは少ないものの、ユーザーが頻繁に打ち間違えるキーワードも、設定することで競合が少ない領域で集客できる可能性がありますので、押さえておく必要があります。

海外リスティング広告の最適化:現地の慣習への配慮

さらなる工夫としては、現地に合わせて、広告文やランディングページでは、ターゲット国の現地通貨で価格を表示し、関税や送料が別途かかる場合はその旨を明記します。透明性が信頼につながります。また、ブラックフライデー(米)独身の日 = 11/11(中)クリスマスなど、各国・地域特有の大型セール期間に合わせて、広告予算を増やし、特別なクリエイティブ・広告文章を用意しながら、広告の最適化を図ります。広告の配信時間も、ターゲット国のタイムゾーンに合わせて最適化することが重要です。

まとめ

越境ECを成功に導くグローバルSEO戦略は、単発の施策ではなく、「継続的なローカライゼーション」が重要です。

  1. 戦略の策定: ターゲット国を絞り込み、ドメイン戦略(ccTLD、サブディレクトリなど)とhreflangの実装計画を確立
  2. 各国SEO対策の実行: Google、Baidu、Yandex、NAVERなど、各国・地域の主要検索エンジンの特性に合わせて、コンテンツ、技術、外部施策(リンクビルディング)を最適化
  3. リスティング広告の連携: 現地語のロングテールキーワードや、緻密な地理的ターゲティングを用いて、短期的な集客とテストマーケティングを実施
  4. 効果測定と改善: GSC、Baidu Webmaster、現地ツールのデータを活用し、常にユーザーの検索行動やコンバージョン率を分析し、コンテンツと広告を改善

世界には、まだあなたの素晴らしい商品・サービスを知らない潜在顧客が大勢います。本記事で解説したテクニックを駆使し、「各国の検索エンジンで上位表示」という越境EC成功の第一歩を踏み出してください。

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