案件概要
株式会社GA technologies(以下、公開買付者)は、株式会社マーキュリーリアルテックイノベーター(以下、対象者)の株式を公開買付け(以下、本公開買付け)により取得することを決議しました。
案件目的
- 不動産データベースの拡充とデータ戦略の強化: 公開買付者と対象者は、それぞれ独自の不動産データベースとプラットフォームを保有しています。これらを統合し相互に活用することで、より網羅的で精度の高い不動産データベースを構築し、不動産業界における情報の非対称性の問題を解決することを目指しています。
- 不動産データプラットフォームの構築: 両社のデータベースとノウハウを活用し、不動産データプラットフォームを構築することで、より効率的で収益性の高い事業を創出することを目指しています。
- シナジー創出による企業価値向上: 両社の経営資源を相互補完・有効活用し、事業シナジーを創出し、企業価値の向上を目指しています。
特に、不動産データベースの拡充とデータ戦略の強化は、両社にとって重要な目的であり、本公開買付けの背景にある大きな要因の一つとなっています。
買主と対象企業の関係性
公開買付者と対象者の関係性は以下の通りです。
- 資本関係: 公開買付者は、2019年に対象者へ出資しており、現在、対象者株式の2.87%を保有する第4位株主です。
- 取引関係: 公開買付者と対象者は、不動産物件情報の提供に関する契約を締結しており、公開買付者は対象者のサービス利用者でもあります。
- 人的関係: 該当事項はありません。
公開買付者は、2019年の出資以降、対象者との関係を深めており、今回の公開買付けは、さらなる連携強化を目的としたものです。
案件背景
GA technologiesは、テクノロジーを活用した不動産取引のオンライン化を目的として創業され、不動産テック企業として成長してきました。一方、対象者であるマーキュリーリアルテックイノベーターは、30年以上にわたり不動産データを蓄積し、不動産マーケティングシステムを提供する企業です。
2019年には、両社は不動産関連データの拡充とデータ戦略の強化を目的として資本関係を構築しました。その後、2024年1月下旬から両社の協業による企業価値向上について協議を重ね、同年4月24日に公開買付者による対象者の連結子会社化を検討するに至りました。
公開買付者は、対象者を連結子会社化することで、両社の持つ不動産データベースやノウハウを相互に活用し、より網羅的で精度の高い不動産データプラットフォームを構築できると考えています。また、両社の事業領域には重複がなく、人材やノウハウなどの経営資源の相互補完・有効活用によるシナジー創出も期待されています。
これらの背景から、公開買付者は対象者を連結子会社化することを決定し、本公開買付けに至りました。
案件後の経営方針
- 対象者が保有する不動産データベースと公開買付者グループが保有する不動産データベース及びデータベース提供プラットフォームを活用し、より網羅的かつ高精度な不動産データベースを構築・提供する。これにより、不動産業における情報の非対称性の解決を目指します。
- 対象者及び公開買付者が保有する不動産データベースを活用した事業に関するノウハウを相互に活用し、より効率的かつ収益性の高い事業を構築する。
また、公開買付者は、対象者の取締役会の構成についても、現状の体制を維持することを基本としつつ、公開買付者が指名する取締役を1名選任する権利を持つなど、一定の影響力を行使する予定です。
案件検討の経緯
公開買付者と対象者は、2024年1月下旬から協業による企業価値向上について協議を開始し、同年4月24日に公開買付者による対象者の連結子会社化を検討するに至りました。
公開買付者は、本格的な検討体制を構築するため、2024年5月上旬に、財務アドバイザーとしてみずほ証券株式会社を、リーガルアドバイザーとして西村あさひ法律事務所を選任しました。
また、2024年5月下旬から7月上旬にかけて、対象者に対するデューデリジェンスや事業シナジーの検討を実施しました。
2024年6月中旬に対象者との間で、本公開買付けと資本業務提携契約に関する具体的な協議を開始し、同年7月12日に買付価格を509円とすることを決定しました。
その後、2024年7月16日開催の取締役会において、本公開買付けの実施、資本業務提携契約の締結、及び応募合意株主との公開買付応募契約の締結を決議しました。
取引スキームの特徴点
本公開買付けの取引スキームの特徴として、以下の3点が挙げられます。
- 買付予定数の下限と上限が同一: 本公開買付けでは、買付予定数の下限と上限がどちらも1,344,000株に設定されています。
- 対象者が応募合意株主から株式を取得: 本公開買付けは、対象者の主要株主である陣隆浩氏とJINXが所有する株式の一部、1,344,000株(所有割合48.14%)のみを対象としています。
- 少数株主の応募は想定せず: 本公開買付けは市場価格から10%ディスカウントした価格で実施されるため、少数株主が応募する可能性は低いと想定されています。
これらの特徴から、本公開買付けは、公開買付者が対象者を連結子会社化することを確実にする一方で、対象者株式の上場維持を企図し、少数株主の利益を保護するような設計になっていると考えられます。
取締役会の意見
対象者は、2024年7月16日開催の取締役会において、以下の決議を行いました。
- 本公開買付けへの賛同: 本公開買付けが、対象者株式の上場廃止を目的としないこと、公開買付者との連携強化により企業価値向上に資することから、賛同の意見を表明しました。
- 株主の判断への委任: 本公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様がご自身の判断で行うよう促しています。これは、本公開買付け後も対象者株式の上場が維持されること、また、応募しないという選択肢も合理性があることから、株主の皆様の多様な判断を尊重するためです。
- 資本業務提携契約の締結: 公開買付者との間で資本業務提携契約を締結することを決議しました。
なお、対象者の取締役会は、買付価格の妥当性については意見を留保しています。これは、買付価格が市場価格からディスカウントされており、少数株主が応募する蓋然性が低いと判断されたため、対象者が独自に価格の検証を行っていないことが理由です。
また、対象者の代表取締役社長である陣隆浩氏は、本公開買付けにおける応募合意株主であるため、利益相反を避けるために、取締役会における審議及び決議には参加していません。
価格の算出方法
公開買付価格は、DCF法などの算定を用いず、公開買付者と応募合意株主である陣隆浩氏及びJINXとの協議・交渉により決定されました。
公開買付者は、2024年4月中旬に応募合意株主との間で、本公開買付価格を本公開買付けの公表予定日(2024年7月16日)の前営業日である2024年7月12日の東京証券取引所グロース市場における市場価格に対して10%ディスカウントした価格とすることを提案し、応募合意株主から合意を得ました。
その後、2024年7月12日の対象者株式の終値が565円であったことから、提案通りに買付価格を509円とすることを決定しました。
公開買付者は、本公開買付けは対象者株式の上場廃止を目的としたものではなく、また、本公開買付価格は、公開買付者と本応募合意株主の協議及び交渉を経て決定されたものであり、対象者株式の市場価格から一定程度ディスカウントを行った価格であるため、本応募合意株主のみが本公開買付けに応募することが想定され、少数株主による応募は想定されず、少数株主の皆様の不利益とならないと考えられることから、本公開買付けの公正性を担保することを目的とした第三者の意見の聴取等の措置は講じておりません。
公正性担保措置の内容
本公開買付けは、対象者株式の上場廃止を目的とせず、買付価格も市場価格からディスカウントされているため、少数株主による応募は想定されていません。また、本公開買付けは、応募合意株主から株式を取得することを前提としており、少数株主の不利益にはならないと考えられることから、公開買付者は、第三者の意見聴取等の措置を講じておりません。
対象者は、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本公開買付けの公正性及び透明性を担保するため、以下の措置を講じています。
- 独立した法律事務所からの助言
- 独立した社外取締役(監査等委員)からの意見書の取得
- 利害関係を有しない取締役全員の承認(監査等委員を含む。)
- 独立した検討体制の構築