この記事では、株式会社テイツーの2025年2月期第1四半期決算説明会資料を詳細に分析し、同社の事業戦略、財務状況、そして成長の可能性について解説していきます。
中古ゲームやトレーディングカードなど、エンターテインメント領域のリユース事業を展開するテイツー。
近年、リユース市場は拡大を続けており、その中でテイツーはどのような戦略で成長を目指しているのでしょうか。本資料から読み取れる情報を基に、同社の強みや弱み、そして今後の展望について探っていきます。
【概要】テイツーの成長戦略を徹底解剖!
テイツーは、エンターテインメント領域のリユース事業を展開する企業です。第1四半期は減収減益となりましたが、これは一時的なもので、今後はエンターテインメント要素の拡充や他社との提携強化、新規出店などにより増収増益を見込んでいます。
特に注目すべきは、株式会社TORICOとの業務提携です。TORICOはIP(知的財産)を活用したキャラクターグッズの企画・販売をしており、テイツーはTORICOとの提携により、新たな顧客層の獲得やエンターテインメント事業の強化を目指しています。
また、テイツーは積極的なM&A戦略も展開しており、2020年には株式会社山徳を完全子会社化しました。山徳はインターネットでのリユース品の売買を行っており、テイツーの事業とのシナジー効果が期待されます。
テイツーは、これらの戦略を通じて、2029年2月期には売上高500億円、営業利益25億円という中長期目標を達成することを目指しています。
会社概要
株式会社テイツーは、中古ゲーム、トレーディングカード、ホビー用品などを取り扱うリユースショップチェーン「古本市場」「ふるいち」などを運営しています。2024年5月末時点で全国に168店舗を展開しており、ショッピングモールを中心に、小型パッケージの「ふるいち」や、さらに商材を絞ったインショップ型の「ふるいち」の出店を強化しています。
市場の概要と競合状況
テイツーが所属するリユース市場は、近年拡大傾向にあります。特に、トレーディングカードやホビー用品のリユース市場は、コレクター層の増加や高額商品の取引活性化により、さらなる成長が見込まれています。
テイツーの競合としては、ブックオフコーポレーションやゲオホールディングスなどが挙げられます。これらの企業も、中古ゲームやトレーディングカードなどを取り扱っており、店舗数や品揃えの面でテイツーを上回っています。
事業概要
テイツーの事業は、以下の3つに分類されます。
- リユース事業:中古ゲーム、トレーディングカード、ホビー用品などの買取・販売
- 新品販売事業:ゲーム、トレーディングカード、ホビー用品などの新品販売
- その他事業:レンタル事業、EC事業など
中でも、中古品の買取・販売を中心とするリユース事業が主力であり、全体の売上高の約53.5%を占めています。
経営戦略
テイツーは、以下の経営戦略を掲げています。
- 中核事業の強化
- 新規出店の継続: テイツーは、ショッピングモールを中心に、小型パッケージの「ふるいち」や、インショップ型の「ふるいち」の出店を強化しています。2024年5月末時点で168店舗を展開しており、今後も新規出店を継続することで、事業基盤の拡大を目指しています。
- エンターテインメント要素の拡充: 株式会社TORICOとの業務提携により、IP(知的財産)を活用したキャラクターグッズの企画・販売など、エンターテインメント事業を強化しています。これにより、新たな顧客層の獲得や、既存顧客のエンゲージメント向上を目指しています。
- 商材の多様化: テイツーは、中古ゲーム、トレーディングカードに加え、ホビー用品の強化や中古レコードの取り扱い開始など、商材の多様化を進めています。これにより、顧客ニーズの多様化に対応し、新たな収益源の確保を目指しています。
- ECサイトの強化: テイツーは、ECサイト「ふるいちオンライン」のサービスを開始し、オンラインでの販売チャネルを拡大しています。これにより、実店舗だけでなく、オンラインでも顧客にアプローチし、売上拡大を目指しています。
- 社会的意義の取り組み
- リユースを通じて地域社会に貢献: テイツーは、リユース事業を通じて、地域社会に貢献することを目指しています。具体的には、不用品の買取を通じて、地域住民の生活を支援したり、リユース品の販売を通じて、環境負荷の低減に貢献したりしています。
- 「ふるいちCreating Shared Value」プロジェクトの推進: テイツーは、「ふるいちCreating Shared Value」プロジェクトを通じて、地域社会との連携を強化しています。このプロジェクトでは、地域イベントへの参加や、地域住民との交流などを通じて、地域に根差した企業となることを目指しています。
- M&A戦略
- 株式会社山徳の完全子会社化: テイツーは、2020年にインターネットでのリユース品の売買を行う株式会社山徳を完全子会社化しました。これにより、オンラインでの販売チャネルを強化し、事業の多角化を進めています。
財務概要
2025年2月期の連結業績予想は、以下の通りです。
- 売上高:374億円(前期比6.3%増)
- 営業利益:15億円(前期比12.5%増)
- 経常利益:15億円(前期比5.4%増)
- 当期純利益:9億円(前期比58.8%増)
テイツーは、2029年2月期には売上高500億円、営業利益25億円という中長期目標を掲げています。
クロスSWOT分析
強み(Strengths)
- エンターテインメント領域のリユース事業に強みを持つ
- トレーディングカードやホビー用品など、成長市場に注力している
- 株式会社TORICOとの業務提携により、エンターテインメント事業の強化が見込める
- 積極的なM&A戦略により、事業の多角化を進めている
- 地域社会に貢献するCSR活動に積極的に取り組んでいる
弱み(Weaknesses)
- 主要な競合他社と比較して店舗数が少ない
- 中古トレカの価格変動リスクがある
- ECサイトの強化が課題
- 財務基盤の強化が課題
機会(Opportunities)
- リユース市場の拡大
- トレーディングカードやホビー用品のリユース市場の成長
- インバウンド需要の増加
- サステナビリティへの関心の高まり
脅威(Threats)
- 競合他社の存在
- 消費者の嗜好の変化
- デジタル化の進展
当該企業との考えられるシナジー
テイツーは、エンターテインメント領域のリユース事業に強みを持つ企業であり、その事業内容や戦略から、以下のような企業とのシナジーが考えられます。
- ゲームメーカー・玩具メーカー
- 新品商品の販売: テイツーの店舗ネットワークを活用し、ゲームメーカーや玩具メーカーの新品商品を販売することができます。テイツーは、すでに新品商品の販売も行っていますが、メーカーとの提携により、品揃えを強化したり、限定商品を販売したりすることが可能になります。
- 中古品の買取保証: メーカーは、自社製品の買取価格を保証することで、中古市場での価格安定化を図ることができます。これにより、消費者は安心して新品を購入することができ、メーカーの販売促進にもつながります。
- 共同イベントの開催: テイツーの店舗やイベントスペースを活用し、ゲーム大会やファンイベントなどを共同で開催することができます。これにより、新たな顧客層の開拓や、ブランドイメージの向上などが期待できます。
- EC事業者
- オンライン販売チャネルの拡大: テイツーのECサイト「ふるいちオンライン」と連携し、EC事業者の商品を販売することができます。これにより、テイツーは品揃えを強化し、EC事業者は新たな販売チャネルを獲得することができます。
- 共同プロモーションの実施: テイツーの実店舗とECサイト、EC事業者のサイトなどを連携したプロモーションを実施することができます。例えば、実店舗での購入者にECサイトのクーポンを配布したり、ECサイトでの購入者に実店舗での特典を提供したりすることで、相互送客を促進することができます。
- 地域社会
- 地域活性化への貢献: テイツーは、「ふるいちCreating Shared Value」プロジェクトを通じて、地域社会との連携を強化しています。地域イベントへの参加や、地域住民との交流などを通じて、地域に根差した企業となることを目指しています。企業や団体は、テイツーとの連携を通じて、地域活性化に貢献することができます。
- CSR活動の共同実施: テイツーは、リユース事業を通じて、環境負荷の低減に貢献しています。企業や団体は、テイツーとの連携を通じて、CSR活動を共同で実施することができます。例えば、不用品回収イベントや、リユース品の寄付活動などを共同で行うことができます。まとめ
考えられるM&Aや資本業務提携のアイディア
買収企業になるM&Aや資本業務提携
テイツーは、エンターテインメント領域のリユース事業に強みを持つことから、以下の企業を買収または資本業務提携することで、シナジー効果を生み出すことができると考えられます。
- 株式会社らしんばん:トレーディングカード専門店を運営しており、テイツーの既存事業との親和性が高いです。らしんばんを買収することで、テイツーはトレーディングカード市場でのシェアを拡大し、品揃えを強化することができます。また、らしんばんの専門知識やノウハウを活用することで、テイツーのトレーディングカード事業の収益性を向上させることも期待できます。
- 株式会社駿河屋:中古ホビー商品の通販サイトを運営しており、テイツーのEC事業とのシナジーが期待できます。駿河屋を買収することで、テイツーは中古ホビー市場でのプレゼンスを高め、オンライン販売チャネルを強化することができます。また、駿河屋の幅広い商品ラインナップを活用することで、テイツーの顧客層を拡大することも可能です。
- 株式会社アニメイト:アニメグッズ専門店を運営しており、テイツーのホビー事業との親和性が高いです。アニメイトを買収することで、テイツーはアニメグッズ市場でのシェアを拡大し、アニメファン層を取り込むことができます。また、アニメイトのイベント開催ノウハウを活用することで、テイツーの店舗での集客力を高めることも期待できます。
対象企業になるM&Aや資本業務提携
テイツーは、エンターテインメント領域のリユース事業で成長を続けていることから、以下の企業がテイツーを買収または資本業務提携することで、シナジー効果を生み出すことができると考えられます。
- 株式会社ビックカメラ:家電量販店を運営しており、テイツーを買収することで、中古ゲームや中古家電製品の販売チャネルを拡大することができます。また、テイツーの買取ノウハウを活用することで、ビックカメラの中古品買取事業を強化することも可能です。
- 株式会社ゲオホールディングス:レンタルビデオ店やゲーム販売店を運営しており、テイツーを買収することで、リユース事業を強化することができます。また、テイツーの店舗網を活用することで、ゲオのサービスをより多くの顧客に提供することも可能です。
- 株式会社メルカリ:フリマアプリを運営しており、テイツーを買収することで、中古品の販売チャネルを拡大することができます。また、テイツーの買取ノウハウを活用することで、メルカリの出品者に対するサポートを強化することも可能です。
これらの企業とのM&Aや資本業務提携は、あくまで一例であり、他にも様々な可能性が考えられます。テイツーは、今後も成長戦略の一環として、M&Aや資本業務提携を積極的に検討していくと考えられます。
まとめ
テイツーは、エンターテインメント領域のリユース事業で成長を続ける企業です。第1四半期は減収減益となりましたが、今後はエンターテインメント要素の拡充や他社との提携強化、新規出店などにより増収増益を見込んでいます。
中古市場の拡大やインバウンド需要の増加といった追い風を受け、テイツーはさらなる成長を遂げる可能性を秘めています。今後のテイツーの動向に注目です。