M&A推進においてプロセスKPIを設定する理由と導入メリット
M&A(合併・買収)は、事業会社の成長戦略において重要な役割を果たします。しかし、M&Aを成功させるためには、適切なプロセス管理が不可欠です。本記事では、M&AにおけるプロセスKPI設定の意義と、具体的な導入メリットについて解説します。
なぜM&AにプロセスKPIが必要なのか?
M&Aは、複雑なプロセスを経て実行されます。ソーシング(買収候補企業の発掘)から始まり、意向表明書(LOI)の提出、デューデリジェンス(DD)、最終契約締結に至るまで、各段階で様々な課題が発生する可能性があります。
プロセスKPIを設定することで、M&Aの各段階における進捗状況を定量的に把握し、問題点を早期に発見することができます。これにより、M&Aプロセス全体の効率化と成功確率の向上が期待できます。
プロセスKPI導入の具体的なメリット
- ボトルネックの早期発見と改善: 各段階のKPIをモニタリングすることで、M&Aプロセスのボトルネックを早期に発見し、具体的な対策を講じることができます。例えば、ソーシング段階でKPIが未達の場合、ターゲット企業の発掘方法やアプローチ方法を見直すなどの改善策を検討できます。
- M&A戦略のPDCAサイクル確立: プロセスKPIを継続的にモニタリングし、目標達成度を評価することで、M&A戦略のPDCAサイクルを確立できます。成功事例や失敗事例を分析し、次のM&Aに活かすことで、より効果的な戦略を構築できます。
- M&Aチームのモチベーション向上: KPIを設定し、目標達成に向けてチーム全体で取り組むことで、M&Aチームのモチベーション向上に繋がります。目標達成状況を可視化することで、チームメンバーの貢献度を評価し、適切なインセンティブを与えることも可能です。
- 経営層への説明責任の明確化: プロセスKPIを設定することで、M&Aの進捗状況や成果を客観的なデータに基づいて経営層に報告できます。これにより、M&Aプロジェクトに対する経営層の理解と協力を得やすくなります。
具体的なプロセスKPIの例
- ソーシング:ターゲット企業リストアップ数、接触件数、面談数、NDA締結数
- 意向表明書(LOI):LOI提出数、LOI承諾数
- デューデリジェンス:DD実施件数、DD完了件数
- 最終契約締結・クロージング:最終契約締結数、クロージング完了件数
まとめ
M&AにおけるプロセスKPIの設定は、M&Aの成功確率を高める上で非常に重要です。KPIを設定し、PDCAサイクルを回すことで、M&Aプロセス全体の効率化と戦略の最適化を実現できます。
企業例
ここからは(まだ少数ですが)プロセス指標を公開している企業を紹介します。追加で発見次第、追記します。
SHIFT (2022年8月期通期決算説明資料より)
- ソーシング227件
- 意向表明書提出14件
- M&A 3件
GENDA (2024年1月期通期決算説明資料より)
- M&Aソーシング年間件数:170件(年度目標50件)
エイチーム (FY2024Q3決算説明資料より)
- 検討企業総数:793社
- ターゲットリスト数:180社
- 接触企業数(IM取得数含む):168社
- トップ面談数:12社
- SPA/実行:2社
クラウドワークス (2024年9月期 第2四半期決算説明資料より)
- リード数:439件
- 初回面談数:118件
- DD:9件
- 権利移転完了:4件
TWOSTONE & Sons. (2024年9月期 第2四半期決算説明資料より)
- 検討数(FY24/8 Q2):167件
- 実施数(FY23/8):5件