「クロージングを行う」ステップは、M&Aの事前検討期間において、「最終契約を締結する」ステップの次に取り組みます。
このステップのまとめ
M&Aにおけるクロージングは、取引の最終段階で株式や事業の移転と代金の支払いを完了させるプロセスです。これにより、経営権の移転が正式に成立し、法的にもM&Aの有効性が確定します。
M&Aの検討が始まり、長い検討や交渉期間を終え、ようやく完了するための最後のステップです。
ここでクロージングの意義と行うことについて説明していきます。
各ポイントの解説
✔ クロージングの概要を理解する
クロージングは、M&A取引において取引の完了を意味します。より具体的には株式譲渡等のM&A取引が実行され、譲渡主から譲受主へ対象企業・事業の経営権が移転することを指します。
最終契約締結とクロージングが同一日で取引が実行される場合もありますが、通常M&Aは様々な事業、資産・負債、人などが複雑に絡み合った企業や事業を取引するものであり、それらを譲渡する・譲り受けるための最終契約書に盛り込まれた前提条件が満たされていない限り、取引が実行されないという形を取ります。そのためクロージング日までに、前提条件が満たされているかを確認します。
前提条件としては、下記のような内容が規定されていることが一般的です。
クロージングはM&A取引の合法性と効力を確認するために欠かせないステップであり、その重要性は非常に高いです。
✔ 相手方との交渉を行う
クロージングまでの期間は、最終契約の締結後から始まり、通常は1ヶ月から1年程度を要します。この期間が必要とされるのは、取引実行に向けての法的要件の遵守、デューデリジェンスで発見された問題の解決、及びその他の実施事項の処理が必要だからです。
実際のクロージングの直前、つまり前日から数日前にクロージングに先立ち必要とされる条件が整っているかの確認を行うために、関係各方が集まり事前のミーティングが開催されることが一般的です。円滑なクロージングのためにも、この段階を丁寧に実施することが望ましいとされています。
この段階では、関係者が集まりクロージングチェックリストを基に、クロージングで行うべき作業を一つずつ確認していくことが大切です。また、必要な文書はこの時点で準備しておくべきです。
事前準備を万全にして、クロージング当日はスムーズに手続きを完了できるようにすることが重要です。
クロージングの手続きは、株式譲渡の場合、譲渡主から譲受主への株式の引き渡しと、譲受主から譲渡主への支払いが核となります。クロージングの詳細は、採用されたM&Aストラクチャーに応じて変わります。
一見単純なプロセスのように見えますが、実際には取引の複雑さに応じて、必要な書類や手続きが多岐にわたり、細心の注意が必要です。特に、リファイナンスや担保設定などが関係する場合や、複数の取引が同時に進行する場合は、より複雑になります。
クロージングにおいては、前提条件が満たされていることを確認し、重要物品の引き渡し、決済を行います。
- 譲渡主・譲受主間で、株式譲渡承認請求書や承諾通知書、株主総会議事録または取締役会議事録の写しなどの必要書類を交付
- 譲受主より譲渡主へ株式譲渡代金を決済
- 株式譲渡請求・承認の手続きに則り、株主名簿を書き換え
- 譲渡主より譲受主へ、重要物品(会社実印、通帳など)を引き渡し
- 譲渡主より代金領収証、譲受主より重要物品受領証を発行し、お互いに交付
その後、クロージング後速やかに臨時株主総会を開き、新たな取締役の任命等を行います。また、新しい役員体制に関する変更登記や必要な許認可の申請や届出の手続きなどを行います。
よくある失敗事例
よくある質問
クロージングまでの期間はどのくらいですか?
クロージング日は一般的には最終契約締結後1ヶ月を目処に設定されることが多いですが、最短で最終契約書締結日と同日であったり、より取引の複雑さや準備の進行状況により長い期間を設定する場合があります。